恐怖の保護者会をなくす大改革

PTAという組織は、会長・副会長・書記・会計・会計監査からなる本部役員と、その下に文化・安全・校外・広報などの各専門委員会があり、委員会が具体的な活動を行うという構図になっている。

そのPTAを実際に大変革した小学校がある。由梨さん(46、仮名)はPTA会長になった年に、各専門委員会を廃止し、“恐怖の保護者会”を一掃した。

それまでに由梨さんは本部役員を3年経験し、多くの疑問を持った。

「みんながやらなきゃいけないという意識、これって変じゃない? って感じたことが始まりでした。委員会のために保護者を軟禁して役員決めをする、全員が強制的に参加するシステムを止めませんかと……」

軟禁してまで役員を決めておきながら、子どものためになる活動自体がほとんどなく、何のためにやるのか意味がわからないものばかり。前例踏襲派の本部役員が卒業で抜けるのを機に、由梨さんは本部役員と協力して、専門委員会は全て廃止した。

その代わりに本部役員は倍の20人に増やし、イベントごとの統率係の役割を担ってもらい、実働部隊としては、一般会員がやりたい時にお手伝いとして参加するようにした。強制ではなく、できる人ができるイベントにだけ関わるという形にしたのだ。クラス役員は1人だけ選出、連絡係になってもらう。これなら“恐怖の保護者会”は必要ない。

PTA改革で人気小学校に

学校側には、改革前の年度末に大まかな方針を文書にして伝え、子どものための改革であることを強調し、了承を得た。新年度になり、保護者への説明会を開催し、改革の全容を伝えた。

「PTAの会則は一定数の賛同者がいれば、変えられます。総会で決議をとり、賛同されました。私はPTAに入らない人がいてもいいと思う。マンパワーは出せないけれど、お金だけは出すというのもありだと思います」

この改革のおかげなのか、少子化のご時世でありながら、由梨さんの小学校には入学する子どもがどんどん増えているという。