波平の時代より40年も長い生きする

もしかしたら、まだピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんので、ここで国民的有名人である波平さんをヒントに考えてみたいと思います。

波平さんは、言わずと知れたサザエさんのお父さん。御年、永遠の54歳。

漫画『サザエさん』が登場したのは昭和20年代で、その頃の男性の平均寿命は60歳ほど。当時、老齢年金の支給開始年齢は55歳。大企業の退職年齢とされるのも55歳でした。

(実際の設定がそうかは分かりませんが)時代背景的にいえば、波平さんはあと1年ほど働いて引退。“老後”期間はそれほど長くなさそうですし、しかも3世代同居でマスオさんもいますから、あまり多くの老後資金はなくても大丈夫そう。

ところが現代、寿命は20年ほど延びました。男性の平均寿命はおよそ80歳。老齢年金の支給開始年齢は、原則65歳に引き上げられていますが、寿命の延びほどではなく、定年退職はいまだ60歳が多いのが現状。“老後”期間は長期化、核家族化も進み、「老後資金を貯める」ことは、家計管理上、必須な時代になりました。

さて、そこからさらに寿命が20年延びようとしているのが、いま直面している「人生100年時代」です。政府は老齢年金の支給開始年齢を、現状引き上げることは考えていないといいます。一方で、定年退職の年齢はいままさに過渡期で、定年そのものを廃止する企業や、70歳、75歳と延長する企業が出始めています。

今の働き方を75歳まで続けられるか

仮に私たちの意識が追いつかず、引退の年齢を65歳のままと考えるとしたら、100歳までの老後は35年。35年分の老後資金を、それまでに貯めておくことは現実的に困難でしょう。みんながここまで長生きとなれば、老齢年金の額も減らされなければ、公的年金制度そのものの持続性も危ぶまれかねません。

一方大学卒業の22歳から働き始めて、75歳まで働くとすると……軽く50年。一昔前であれば、一生涯に相当するくらいの年月です。

もし、いまあなたが朝から晩までがむしゃらに一生懸命に働いているとしたら、ちょっと考えてみてください。長く続けられますか?