専業主婦のことは、もう気にしない

同世代の専業主婦が気になるという人もいますね。子どもが小学校に入ると、住む地域によっては母親の半分ほどが専業主婦で、母親は子どもに時間と手間をかけるべきだという彼女たちの価値観とぶつかってしまう。

でも、まったく気にする必要はありません。2017年のデータでは、専業主婦世帯が共働き世帯の約半分にまで減少しました(図表1)。現在40代ぐらいの世代ではまだ働く女性と価値観がぶつかりがちですが、専業主婦自体がいずれもっと少数派になる人たち。そこは何を言われても気にせず、お互いの価値観を尊重してその場をやりすごすことをおすすめします。

これから増えるのは高収入同士の結婚

共働き世帯のほうが増えているわけですし、今後も間違いなく増えて多数派になっていきます。世界的に見れば共働きへの動きはもっと早く進んでいるわけです。自分たちのほうがグローバル基準だと思うこと。他の先進国を見ると、専業主婦はむしろ珍しい存在になっていて、これからの社会では専業主婦でいたいという考えでい続けるのは厳しいと思います。

そもそも専業主婦という生き方は高収入の男性との結婚を前提とするものですが、これから増えていくのは稼いでいる男性と稼いでいる女性の組み合わせ。社会学では同類婚という言葉がありますが、所得や学歴などの同類婚は、共働き社会化が進むとその傾向が強化されていくことがわかっています。同類婚のなかでも上位のもの同士から順にマッチングしていくことをアソータティブ・メイティングと呼ぶことがあります。アソータティブ・メイティングの世界では、ほかの条件が同じならば最も所得の高い男性と結婚するのは最も所得の高い女性になります。

単純に考えても、現在の夫の年収を倍にするより、女性が同じぐらい稼ぐほうが現実的ですよね。私が勤務する大学でも、学生たちの結婚観を聞いてみると、今の20歳前後の男性は大多数が「結婚しても妻にも働き続けてほしい」と希望している。終身雇用で一生働き、一家の大黒柱としてやっていく自信のある男性は少なくなっています。つまり専業主婦志望の女性は、婚活で困るような時代になっているのです。

筒井 淳也(つつい・じゅんや)
立命館大学産業社会学部教授
1970年福岡県生まれ。93年一橋大学社会学部卒業、99年同大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得満期退学。主な研究分野は家族社会学、ワーク・ライフ・バランス、計量社会学など。著書に『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(光文社新書)『仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(中公新書)などがある。

構成=小田慶子 撮影=向井 渉