“専業主婦の呪い”は女性にも降りかかる
一方で、女性にも“専業主婦の呪い”はかかっていて、自分のお母さんがしていたように丁寧な家事をしなければと思い込んでしまいがちです。ただ、お母さんは主婦だったけれど、自分はフルタイムで働いているのが決定的に違うところで、仕事を終わらせてから同じだけの家事をこなそうと考えると、かなりきつい。しかし、「丁寧な家事」の呪縛にかかっていると、簡単には意識が変わりません。そのため、きつい中でも重い家事負担を受け入れてしまうのです。
「自分の中の合格水準」の呪縛については、人々が家事分担について感じる「不公平感」を分析した研究からも説明がつきます。欧米諸国では家事分担が妻に偏ると妻は不公平感を表明しやすくなるのですが、日本など妻がほとんどの家事をしているような国では、妻が多く家事を負担しても不公平感を強めないということがわかったのです。日本では「家事は妻がやるもの」という考えが浸透してきたため、欧米人からすれば許容しがたい不公平があっても「そんなものだ」と受け入れてしまうのです。
仕事も家事も“ゆるゆる”がグローバル基準
男性がもっと家事を負担するようにすることはもちろんですが、男女ともにもっと“ゆるゆる”に考え、完璧主義の呪縛から解き放たれたほうがいいと思いますね。
呪縛から解かれるためには、グローバルスタンダードを見ることです。例えば、フランスなどのヨーロッパでは、残業なしで夕方5時きっちりに退社しても、平日の夕食は冷凍ピザで済ませるといったことが多い。もし日本の家庭で牛丼屋の牛丼をテイクアウトして夕飯にしたら驚かれると思いますが、日によってはそのぐらいでいいと思いますね。「牛丼は温かいからOK」というぐらい、楽に考えればいいんですよ。
ワーク・ライフ・バランスの「ライフ」は、あくまで「仕事や家事をしない自由な時間」だと考えましょう。もちろん家事にやりがいを感じている人もいるでしょうが、「ライフ」の時間を増やすためには、仕事だけではなく家事の時間も節約すべきです。