【1】健康診断前に知っておこう
働く女性の健康に対する意識は高くても、いざ健診を受けるとなると、わからないことも少なくないはず。今更聞けない疑問を一挙に解決してみましょう。
Q:人間ドックは、たくさんある検査項目から何を選べばよい?
病気の発症に関係が深い素因には、性別、年齢、遺伝の3つがあります。この素因をベースに自分に必要な検査項目を探すとよいでしょう。例えば、がん検診には年齢的な要素を加味するのがおすすめ。がんは20~40代までは、男性に比べて女性に多く、これは子宮頸(けい)がんと乳がんが若い世代にも生じるがんだからです。50歳以降は一般にがんにかかるリスクが高くなるので、女性では大腸がん、肺がん、胃がん、子宮体がん、卵巣がんの早期発見に気を配りましょう。
また、病気の家族歴は重要な情報です。家族の中に大腸がんの人がいる場合は、40代のうちに大腸の内視鏡検査を受けておきましょう。乳がん家系の人あるいは乳腺の密度が高い人は、マンモグラフィーと乳房超音波検査を併せて行うと安心です。がん以外の疾患も、近親者(特に母親)の病歴や体質の傾向を参考に検査項目を選択すると、うまくスクリーニングができます。
このほか、胃の検査でバリウム検査(エックス線検査)と内視鏡検査(胃カメラ)のどちらかを選べるなら、早期がんの発見率が高い内視鏡検査がおすすめ。ピロリ菌の検査も1度は受けておきましょう。
Q:受信日が迫ってきたら、生活習慣を改めるべき?
中性脂肪の数値は3週間の食事制限をすると、ほぼ正常値に戻ります。肝機能の数値も、アルコール性の場合なら3週間くらい飲酒を控えれば下がることがほとんどです。なかには1週間ほどで変化が表れる人もいますが、一時的によい状態をつくることにどれだけの意義があるでしょうか。もちろん、その状態を健診後も続けられるならおすすめしますが、健診の目的は、普段の自分の健康状態を知ることにあります。健康は一日にしてならずですよ。
Q:常用薬がある場合は、検診前にも飲んでいいの?
必ず飲んでほしいのは血圧の薬。糖尿病の薬は服用せずに持参するようにします。抗凝固薬や抗血小板薬といった血液をサラサラにする薬については、主治医と相談のうえで中止するかどうかの判断が必要です。病理組織検査(生検)をする場合に出血が止まらなくなる可能性がある一方で、夏場など脱水によって脳梗塞を発症する人もいるからです。施設によっては同様の効果があるサプリメント(EPA配合など)の中断を求められることもあります。
Q:検診前日の食事や水分制限が守れなかった場合はどうなるの?
中止になる場合もあるので、必ず検査前に伝えましょう。胃カメラやバリウム検査は空腹でなければできないだけでなく、胃腸が動くことで中の空気も動きだし、腹部超音波検査もしにくくなります。胆のうも空腹時でないと膨らまないため、胆石などの確認ができません。血液検査では中性脂肪や血糖値に影響が出ます。では、水ならよいかといえばそうではなく、やはり腹部超音波画像が見えづらくなる弊害があります。常用薬を飲む場合も100ccぐらいの水で服用しましょう。