さりげない気配りがマナー上級者への道

イラスト=なかのりか
●枕ことばの魔法で心象アップ
ビジネストークには、空気を一気になごやかにする魔法の言葉があります。客先にお願い事をする場合や断るとき、謝罪のとき、事実を述べて伝えるよりも、話の出だしで「恐れ入りますが」などの枕ことばを添えることで、低姿勢の印象にもなり、相手の受け取り方が違ってきます。こうした枕ことばはメールや手紙でも使えます。実はあいづちにもクッション表現が。「そうなんですね」などの受け入れ、「いいですね」などの肯定、「そう思います」などの共感、「そうなんですか!」など興味を示す言葉を適時はさむと「話がわかる人だ」という親しみにつながります。
●会議もマナーで活性化
会議は大きく分けて「提案型」と「報告型」があります。どちらの会議でも伝わりやすい発言には順序があります。冒頭では「事実」「数字」の報告から始め、続いて自分の意見を説明。最後に具体的な数値目標を添えて、今後の方針を提案するのがポイントです。また、新人だと年長者が多い会議では遠慮しがちになりますが、若手ならではの発言も価値あり。積極的な姿勢は会議の活性化につながるので、臆せず参加していきましょう。自分が先輩の場合は、後輩の質問や意見を頭から否定せず、上手にフォローすることで若手の発言を促し、成長の助けにもなります。
●接待はおもてなしの心で
接待で大事なことは、相手に余計な気を使わせないことです。さあ食事というときも、相手が箸をつけてから食べ始めるのが鉄則。接待を受けた場合は、はじめに「お招きいただきありがとうございます」と感謝を伝えましょう。大人数の場合は、全員に料理が配膳されてから食べるのが基本。携帯電話は電源オフがマナーですが、どうしても出なくてはならない場合はひと言断り、用事が済んだら電源を切り、バッグにしまいます。会計は、支払うところを相手に見せないように、食事が済んだら、トイレに立つふりをして、さりげなく済ませるとスマートです。
●うまい雑談のコツ
雑談上手になれば、相手との距離が縮まり、深く知り合うことができ、ビジネスにもよい影響が期待できます。「天気」など万人共通の話題なら入りやすいでしょう。最近の天気予報では天気だけではなく「スーパームーン」「今日は○○の日」など雑談ネタが豊富なので利用価値大です。また会話の糸口として、相手がイエス・ノーで答えられる質問をすると、会話がつながりやすくなります。そこから反応を見て深めていきましょう。突飛な質問やゴシップは避けたほうが無難です。夏などシーズンが近ければ、休暇の話題も楽しい会話につながりますね。

 

北條久美子(ほうじょう・くみこ)
ライフスタイリスト
ビジネスマナー、コミュニケーション、キャリアの講師として年間約2500人にセミナーを行う。海外生活の経験を生かしたコミュニケーションノウハウやライフスタイルを提唱。近著は『図解 仕事の基本 社会人1年生大全』(講談社)。

構成=モトカワマリコ イラスト=なかのりか