受付を制する者が、訪問マナーを制す

取引先の会社を訪れたら、最初に向かうのが受付。有人のこともあれば、内線電話だけのこともありますが、訪問先の顔ですから、受付では気を抜かず、礼を尽くしましょう。冬なら受付前にコートを脱いで裏返して手に持ち、携帯電話も電源をオフにするのがベスト。

受付が終わり、担当者以外の人が迎えに来たら数歩後ろ、担当者なら並んで歩きますが、無理やり会話を弾ませる必要はありません。会議室に通されたら、打ち合わせの準備を。メモや資料を出し、静かに待ちましょう。もし、室内に芸術品があったり、窓からよい景色が見えたら、眺めて待つのは正解。会社としてもおもてなしのポイントでしょうから、気づいて楽しむ様子は喜ばれます。

打ち合わせや会議を終えたら、通常はエレベーターまで担当者に見送られて帰りますが、帰りは仕事の話ではなく雑談を。エレベーターにつく直前で改まった礼をし、乗ったら頭を下げて「閉」ボタンを押します。玄関まで送られたら、いつまでも見送らせないように少し歩いて振り返り、あらためて深く礼をすれば、相手も見送りを終えることができます。

▼気を抜かず、訪問先の状況に合わせて柔軟に
●時間の余裕=心の余裕
相手の会社には遅くとも約束の10分前には到着するように。交通トラブルのような予想外のトラブルがあるかもしれないし、真夏なら汗を引かせ、冬はコートを脱ぎ、身支度を整える時間も必要。早めに着いたら静かに待ち、ジャストになったら受付へ。
●遅刻! さてどうする
ビジネスの現場で遅刻はあってはならないことだが、やむを得ない場合は、約束の10分前までに電話で連絡を。その時にいる場所と移動手段、遅刻の理由を伝える。5分遅れそうな場合でも「10分遅れます」と連絡し、二重に遅刻しないように配慮を。
●受付は会社の顔
有人の場合は、約束の時間、先方の担当者の名前をまず伝え、自分の社名と氏名を名乗ると受付の人が対応しやすい。無人受付の場合の内線通話のマナーは電話と同じ、まず自分が名乗り、誰といつ約束しているかを伝えること。
●待ち時間でも気を抜かない
受付前の待ち時間、受付を済ませて担当者を待っている間も気を抜かず、いつでも立ち上がれるように椅子には浅く腰掛ける。大規模なオフィスでは、受付で名刺を出す場合もあるので、あらかじめ用意しておく。受付後は携帯電話の使用は基本的にNG。
●会議室ではどこに座る
会議室では上座に通されることが多い。「こちらへ」と案内された席に座る。席の指定について何も言われない場合は、移動を勧められるまでは一番下座と思われる席に座っておく。上座の位置は部屋の条件によって異なるので注意が必要。
●椅子の座り方にもコツがある
バッグは床に直接置くのがマナー(底に、びょうが付いた自立タイプがおすすめ)。コートは背中のうしろかバッグの上に。担当者が入ってきたらすぐに立ち上がれるように、受付での待ち時間と同様、骨盤を立て、椅子には浅めに腰かけて準備する。
●お茶出しの人にも静かにお礼を
担当者を待っている間に出されたお茶は、勧められるまで手をつけてはいけない。お茶を出してくれた人には小さな声でお礼を言うか、会釈をする。商談の最中に腰を折ることはしないまでも無視は失礼。周囲への小さな気配りが印象アップにつながる。