マナーの神髄は、コミュニケーション
最近の名刺交換、マナーに則していたか自信はありますか? 経験を積みすぎて、もはや無意識に体が動いているかもしれませんが、油断大敵。もしかしたら取引先の相手や上司が、仕事の場面でのあなたの振る舞いを気にしているかもしれません。そして日々の業務態度や印象の積み重ねが、社会人としてのあなたの信頼度を決めているかも……。新人研修以来、あらためて検証することがなかったビジネスマナーですが、実はキャリアを重ね、ステップアップを狙うベテラン世代こそ、再確認してほしい知識なのです。
武士道に「守破離(しゅはり)」という言葉があります。まず基本を守り、相手によって対応を変化させ、あくまで基本をベースにしながら、最後には自分のやり方を手に入れるという教えです。ビジネスマナーも同じ。必要な決まり事を知っていれば、何事にも臨機応変な対応ができて信用を得られ、信頼に基づいた人間関係ができていれば、いずれ大きなチャンスが与えられる、ということだと思います。
仕事のスキルも重要ですが、組織ではステップアップするほど、人と人をつなぎ、人を動かす高度なコミュニケーション能力が問われるもの。極論を言えば、仕事の成功は「人と人の関係」にかかっています。どんな場面でも、どんな立場の人と対峙(たいじ)しても、堂々と対応でき、なにより相手から信頼を得るためには、日々小さな信用を積み上げ、ていねいで適切な対応を心掛けることが大切なのです。そしてどう対応すべきか迷ったときに、頼りになる知識がビジネスマナーです。どんな場面でも、マナーを踏まえて行動することで、相手への敬意を態度で示し、人間関係を深めていくことができると、私は考えています。
この春、新人の指導を任される人もいるでしょう。後輩を正しく導くためにも、長いお仕事人生の中、少々曇ってぼやけてしまった「仕事の決まり事」をブラッシュアップするためにも、いま一度、ビジネスマナーの基礎・基本をおさらいしておきましょう。