「投資の漫画『インベスターZ』がすごく面白かった!」

私は30年続いている経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」(WBS)に、月曜から金曜まで毎日出演しています。これだけの長寿番組であっても、ニュース自体は非連続的なもの。前日まで思いも寄らなかったニュースが飛び込んでくるので、明日何が起こるかわからない、という日常の非連続性を実感します。

投資をテーマにした漫画「インベスターZ」(三田紀房著・講談社・全21巻)

だからこそ『哲学の教科書』で教えられたように、“今は今”しかない、たとえ今回が最後になってもいいように、きちんと番組を進行したい、伝えたいと腹をくくります。そう考えると、公私ともに人と適当に接することができなくなります。いつ会えるとも限らないから、会いたい人に会えるときに会い、ちゃんとコミュニケーションを取っておきたいのです。

毎年自分の誕生日が来ると、その1年でやりたいことを3つ書き出すようにしているのですが、必ず書くのが「丁寧に生きる」。今年はそのほかに「体を鍛える」を加えました。

体が丈夫じゃないと仕事が100パーセントの状態でできませんからね。この2つはなかなか守られていないですが(苦笑)。

もうひとつが「本を読む」。仕事で必要に迫られたもの以外に、月に1冊必ず読むという目標はなんとか死守しています。WBSが終わって深夜に帰宅しても、神経が高ぶったままなので、すぐには眠れません。その時間がもったいないので、入浴しながら小説、雑誌、漫画を読むこともあります。

最近は投資に関する漫画『インベスターZ』を読みましたが、ものすごく面白かった! 投資をするには、世の中のすべての事象にアンテナを張っておく必要がありますが、それはキャスターとして必要なことでもあります。それにアンテナを張り巡らせると、人生が面白くなる度合いが断然違ってきます。幸い、私の周りには好奇心旺盛な方がたくさんいらっしゃるので、結構のんびり屋の私を「これ面白いよ!」とあおってくれるのが頼もしい限り(笑)。

映画『この世界の片隅に』ではクラウドファンディングに参加

映画『この世界の片隅に』は、私以上にのんびり屋で楽観的な女性が主人公。でも戦争が徐々に忍び寄ってきて、彼女の生活や幸せが破壊されていきます。それを見て思い出したのが、シリアの内戦から逃げてきた難民の人々を取材したときのこと。

昨日まで皆が普通に生活していた場所が戦場と化したのです。命からがら逃げてきた男性が携帯電話で撮った動画を見せてくれました。「僕の家のそばで銃撃戦が起こって、友達が次々に撃たれていったときの映像だ」と涙ながらに語ってくれました。

日常と戦争の境目は、実はとてももろいものだということを『この世界の片隅に』と同様に感じたのです。この映画をきっかけに、私は初めてクラウドファンディングに参加しました。「片渕監督を海外の上映会に連れていこう」という主旨の計画に出資。クラウドファンディングの返礼として監督の帰国報告書が送られてきたときは、私のお金が微力ながらも生かされているんだ! と感激。以来、クラウドファンディングにハマり、最近は農薬の影響でメロンが全滅してしまった農家さんに寄付をしました。自分で稼いだお金が、応援したいと思った対象の役に立ち、それが“満足感”として返ってくる経験をさせてくれた。そんなきっかけを与えてくれたことに感謝したい映画です。