まずは医師の診療方針に従う

「いい患者」になりたいからといって、医師の言うことを何でもかんでも聞くという態度が好ましいというわけではないが、「最初は言うことを聞いてほしい」と眞鍋医師は言う。

「自分で治療方針を決める、という信念は持ってほしいのですが、まずは医師の治療方針に従っていただきたいです。処方された薬を飲まない、途中でやめる、といったことをされると、その後の治療がうまくいかなくなる場合があります。そのうえで、相性が合わない、信頼できないとなれば、医師や病院を替えてもいいと思います」

また、普段の人間関係と同様に、気遣いのできる患者は好かれる。いい意味でドクターや看護師から“ウケがいい”患者でありたいもの。

「私のクライアントさんで、ある難治性の病気にかかっていた方がいました。ずいぶん辛いはずなのに、周囲への気遣いが素晴らしかった。『今日の先生のネクタイはすてきですね』と医師をほめたり、注射や検査のたびに看護師さんに感謝の言葉を忘れない。その女性によって病院のスタッフが癒やされ、彼女は“病院の天使”と言われていました。こういう患者さんがいると、病院全体に活気が出てきます」(おのころさん)

セカンドオピニオンは受けたほうがいい?

以前に比べると、セカンドオピニオンを受けやすい風潮になり、医師の間でも、積極的に受けるべきだという意見が多数派になっている。そうはいっても、面と向かって「セカンドオピニオンを受けたいのですが」と切り出すのは気がひける。そんなときはどうしたらいい?

「電話でいいので『こういう事情があるので、ほかの病院でも診断を受けたいです』と伝えるだけで十分。医師が忙しくて電話に出られない場合は、看護師さんに伝えるだけでも大丈夫です」

と言うのは眞鍋医師。もちろんセカンドオピニオンを受けた後、最初のドクターのほうがいいという結論になっても問題なし。ただし、セカンドオピニオンの病院で手術を受けてしまった場合、最初の病院に戻るのは困難とのこと。

「手術を担当した医師なら、その後の経過をちゃんと見たいからです。それに、ほかの病院での術後の処置をするのは難しいですね」

がんや難治性の病の宣告を受けた場合は、「セカンドだけでなくサード、フォースオピニオンまで受けるべき」と言うのはおのころさん。

「最初の医師にセカンドオピニオンを紹介された場合は、その医師の診断に間違いがないか、フォローするだけになってしまう場合もあるので注意が必要です。だから、ほかに2人ほど自分で探して、意見を聞くことをおすすめしています。3、4人の医師に診てもらうと、治療方針や手術法など、自分の病気を俯瞰(ふかん)して見ることができます」