もう治療法がない、と言われたらどうする?

末期がんや難病などにかかり、医師から「もう治療法がない」と言われたら……。本人だけでなく、家族も絶望的な気持ちになるが、本当に打つ手はないのだろうか?

まだ見ぬ治療法が見つかるかも

「医学は日進月歩で進歩しています。治療法がないというのは、現時点でのことなので、可能性が全くないわけではありません。現在の体調をなんとか維持して余命を延ばす間に、画期的な治療法が出てきたり、再生医療が進歩するかもしれません。臨床試験に参加するというのも、1つの手段です。臨床試験の対象になるためには、細かな条件やデータが必要になるので、選ばれた人しか参加できません。もし私の親族が臨床試験をすすめられたら、受けたほうがいいと伝えると思います。ほかに、経済的な余裕があれば、外国に渡って、治療や手術を受けることも選択肢に入ります」(眞鍋医師)

さらに、「病気と共存する」という意識の転換も、余命を延ばす可能性があるとおのころさんは提言する。

「死ぬまでにやりたいことをリストアップします。どこに行きたいとか、誰に会っておきたいかなど。そうやって自分の体力との兼ね合いをつけながら前向きな気持ちでいると、知らない間に存命する例が少なくありません。周囲の家族も『治すことより大事なこと』に目を向ける姿勢で接することができたら、何か、大きな発見があるかもしれません」

眞鍋 歩(まなべ・あゆむ)
メドピア 医師
日本大学医学部卒業。日本大学眼科研究医員として臨床と研究に従事。ITで医療の課題を解決するメドピア所属。チャットなどで健康相談ができるオンラインサービス「ファーストコール」の立ち上げに参加。
 

おのころ心平(おのころ・しんぺい)
パーソナル医療コーディネーター
19年間で2万2000件以上のカウンセリングを行い、医療関係者などの指導にも取り組む。08年、心と体の関係を学ぶ場として、自然治癒力学校を開設。著書に『医者のかかり方完全マニュアル』(アスコム)など。
 

写真=Getty Images