当初は設計になかった傘掛けフックも、化粧直しのときにあったほうがいいと設置を依頼。ごみ箱は、フタを手で持ち上げるタイプだったが、「手が汚れるので、絶対に足踏み式」と主張。他の商業施設のごみ箱を参考に、自ら探し出した。
「トイレは使っている人から苦情が出やすいところ。商業施設の印象がそこで決まったりもするので、細かいところも妥協したくなかったんです」
工期が迫るなかで依頼し、気まずい空気になることもあった。だが、異動で担当を離れることになったとき、設計担当者が「また油井さんと仕事がしたい」と連絡をくれた。「そう言ってもらえると、これまでの苦労が消えてしまいます」と、油井さんは声を弾ませる。
「新しくなった所沢駅を何度も訪れました。さびしかった東口がにぎやかになって、駅ビルで楽しそうに買い物をしている人を見ると、この仕事をしていてよかったなと思います」
これから手がけていく東村山駅にも、きっと同じ光景が広がっていくのだろう。
▼油井さんの1日のスケジュール(夜間作業がある日)
(5:30~)起床、朝食、身支度
(7:00~)出勤、準備
(8:30~)始業、点呼
(9:00~10:00)所内打ち合わせ
(10:00~)施工会社との打ち合わせ
(12:00~)昼食
(13:00~14:00)打ち合わせ用の資料作成など
(14:00~)当日の夜間作業の現場確認・打ち合わせ
(16:00~)当日の夜間作業の報告
(17:00~)終了点呼、終業
(18:00~)夕食、仮眠
(22:00~6:45)夜間作業
(7:00)退社
撮影=市来朋久