相手の時間を無駄にする質問はしない

キーマンと話をするときは、メニューの悩みなど、現在の潜在的な悩みやニーズなどを引き出していく。

「例えば、先方があまりお話をされないときには、『ビールを飲まれるお客様が多いんですか?』『ビールの次によく出ている飲料はなんですか?』など、まずは答えやすい質問からしていきます。このとき、『お店の状況はどうですか?』といった漠然とした質問や、『名物料理はなんですか?』といった事前に調べておけばわかるような無駄な質問は、先方の時間的負担になるだけなので、しないように心がけています」

そうした会話を繰り返していき、自社商品で提案できるものがないかを模索する。

「メニューを見せていただいて、『この銘柄のウイスキーを使っているのに、ハイボールがこの価格帯とは安いですね』とお伝えしたとき、先方から『実は仕入れ値と売値が合わないと思っていた』と言われるような話の展開になれば、『銘柄のこだわりがないようでしたら、仕入れ値がもう少し低い商品に替えることで、売値を変えずに利益を増やせます』とお薦めできます」

何げないやりとりのように見えるが、この会話をするために、大河原さんはあらかじめ近隣の飲食店の飲料の価格帯のほか、他社飲料の価格や味も調べている。そのため夜は視察のための飲食店巡りや、他社商品のチェックを行うことが多いという。

聞きにくい売り上げを、どうやって問う?

もう少し踏み込んで、店舗の売り上げ状況を知りたいときにも、聞き出し方のテクニックがあるという。

「初対面なのに『月の売り上げはどのくらいですか?』とダイレクトには聞けませんよね。そこで『先日飲みに伺ったのですが、女性のお客様が多いんですね。1人予算3000円くらいで食べられたのですが、お客様の回転率は2回転くらいですか?』というような質問をすることで、だいたいの売り上げが予想できるのです」

「もっと女性客を増やしたいが、どうしたらいいか」「メニューを新しくしたいので、相談にのってほしい」「周年イベントを検討しているので、何か協力してもらえることはないか」など、大河原さんの元には担当エリアのクライアントからの要望が後を絶たない。