CFOになるために、会計の道を突き進んできた

半年間の育休を経た後は税務へ。CFOになることを目指していたので、自分から希望しました。CFOは社長に報告し、会社経営に参画する立場。そんな責任ある仕事に就くためには、ひと通り全部できることがマスト。それまで主に事業部付のファイナンスの仕事に携わっていたので、経理・財務、税務方面の仕事にチャレンジしたかったのです。その後、日本マクドナルドを経てレノボ・ジャパンでCFOに。日本ケロッグでも、商品開発の最初からファイナンスとして関わっています。

左/中小企業診断士の資格取得時の参考書。「経営全般の勉強ができ、視野が広がりました」 右/慶應大学ビジネススクールでの教科書。「経営に活かせる会計を学びたい人に」

企業が存続する目的は、売り上げと利益を伸ばして企業価値を高めること。そのために社員はみんな日々、売り上げと利益を伸ばすべく仕事をすることが期待されます。経営者でなくても、経理でなくても、マーケティングでも営業でも、自分の会社の経営を理解する必要があると思います。会計、数字は経営の一部で、特に重要な部分です。

子どもを産んでも続けられる仕事をしたい。そういう意味では会計がいいのではないかと考え、この道を突き進んできました。会計は女性向きの仕事だといわれています。P&Gに在籍中、アジアのファイナンス部門の男女比を調べたことがあったのですが、そのときに日本と韓国以外は大半が女性だということがわかりました。世界的に見ても、会計分野には女性が多いんですよ。女性に向いているというよりは、男女の能力差が出ない仕事と言ったほうがよいでしょうか。男女の差がない分野だからこそ、さらに自分の価値を高めるためにも会計の勉強をしてみませんか。

1989年:同志社大学文学部を卒業後、P&Gのファイナンス部門に入社
1994年:コーポレートファイナンスマネージャー就任
1996年:アジアの予算管理グループマネージャー就任。米国会計士の資格取得に向けての勉強を開始
1998年:ファブリック・ホームケア部門の財務部長就任
2000年:第1子を出産。米国公認会計士試験に合格。税務部長として復帰
2002年:第2子を出産
2006年:日本マクドナルドに入社。フランチャイズ事業担当財務部長就任
2010年:レノボ・ジャパンに入社。取締役CFO就任。合弁事業のNECパーソナルコンピュータの監査役兼任
2014年:日本ケロッグに入社。執行役員、経営管理・財務本部長就任。中小企業診断士試験に合格・登録
2018年:慶應義塾大学大学院経営管理研究科EXECUTIVE MBAを修了
「会計力」を強くするには?
▼経理・財務部門のメンバーと仲良くなる

経理・財務部門のメンバーに、自分の仕事をやっていくうえで、どうしたら売り上げと利益が上がるかについて相談してみてください。会社の風土にもよるかもしれませんが、きっと「こうやったらいいんじゃないか」というアドバイスをくれると思います。それを実践すると会社の価値を高める仕事ができ、自分の価値も上がります。

構成=福田 彩 撮影=川嶋一郎