あなたに無駄な作業をさせているのは誰?
(3)初めて一緒に仕事をする人への対処法
普段から仕事をしている相手なら、仕事の進め方や段取り、スケジュールの立て方、見積もりや請求方法など、これまでの仕事を通じて互いに理解し、共有化できている。だが、初めて仕事をする相手では、仕事の進め方から報告・連絡・相談に至るまで、これまでとは異なるやり方にお互いが戸惑うことになる。自分たちには当たり前のルールや慣習であっても、相手はそのルールを知らずにいることはよくある。
相手先企業や担当者との仕事が初めての場合、普段の仕事よりも綿密に進行スケジュールの確認、報告の方法と頻度、見積もりや請求のやり取りまで、気を抜かずに対応すべきだ。こうした場合に起こるトラブルは、お互いの仕事の進め方や仕事への接し方に起因するケースがほとんどだ。相互に理解し合えば、その後はスムーズに進み、意欲がそがれることはなくなる。
(4)やたらカタカナの単語を使って説明する人への対処法
会議やプレゼンテーションの際に、やたらカタカナを使って説明する人間がいる。たとえば、「今日のアジェンダでは、A社とのアライアンスに関して報告します」とか、「このスキームではドラスティックに取り組まないと、プライオリティがつけられない」といった具合だ。
本人は英語の言葉を使った方が知的に見えると思っているのか、内容が薄いことを見せないようにしているのか、会話に英単語を挟み込みこんでくる。過剰に英単語を使用すると、話の要点や真意が相手に伝わらず、無用な行き違いを生じさせることがある。デキる人は、意思決定者が中高年の役員の場合、高度な内容を平易に説明し、できるだけカタカナは避けて日本語にして話す。だが平気でカタカナを連発するタイプは、その配慮ができない。
同世代や部下の場合なら、「申し訳ないですが、説明してくれている内容を正確に理解したいので、カタカナを日本語にして説明してくれますか」と依頼する。面白いことにこう言われてカタカナを使わずに話そうとすると、上手く話せなくなる人がほとんどだ。話している本人が、曖昧な理解のままに説明していることが明らかになる。
上司や上役の場合には、さらにその上の立場にいる人にお願いし、カタカナを使わずに説明するように事前に申し渡してもらう。それでもカタカナを連発するようなら、その場で一喝することもあるだろう。
(5)仕事のゴールイメージを共有しない人への対処法
オリエンテーション(依頼する仕事内容を他者に説明)する発注者側と、オリエンテーションをもとに仕事を受ける側の双方に、共通の仕事のゴールイメージがないと、最後には必ず面倒なことが起こる。ゴールイメージが描けないままに仕事を始めると、いくらベストのアウトプットを提示しても、相手に判断基準がないため、やり直しをすることになる。
仕事を受けたらなるべく早い段階で、仕事のゴールイメージを両者で共有するように努め、そこで合意が取れてから着手する。ゴールイメージを共有するには、文字(文章)だけでなく、映像・イラスト・サンプルなど具体的に視覚でわかるものを使ってイメージを共有するようにしたい。
ホームページのデザイン、広告表現、商品デザイン、パッケージデザインといった仕事で、普通のビジネスパーソンを相手にする場合は、とくに綿密にゴールイメージを共有化しておきたい。想像力が豊かでない人でもイメージがわくように、「見える化」して説明しよう。
(6)会議に遅れて来て、途中で退席する人への対処法
会議の前に、議題について資料を読んで来ることもなく、ときには何を決める会議かもわからずに参加し、しかも遅れて来ては好き勝手に私見を述べ、途中で退出する上役がいる。しかも会議で決まった内容について、後から「オレは聞いてないぞ」とか「なぜそういうことになったのか」と言い出すことまである。
こうした人には、会議に遅れて来て途中で退席する際、会議で決まった内容については一任してくれるように事前に確約を取り付けよう。もしそれがNGなら最初から最後まで会議に出席してもらうようにする。
ただ、こうした人が最後まで会議にいると、せっかく尖った企画が丸くなり、面白くなくなることが多い。イエスマンばかりのメンバーではなおさらだ。これを避けるには、上司に本音を口にしても嫌われない女性社員に「部長、そういうのは若い人には受けない気がします」とやんわり静止してもらいながら進めるようにすれば、不本意な結果を避けられることもある。
面倒な人をうまく避けるのも、プロフェッショナルの条件
仕事の内容ではなく、そこに介在する人によって、無駄な作業や手間、残業が生まれてしまうことが多い。特定の人との仕事で無理や無駄、残業が多くなっていると気づいたら、先手を打って行動を起こせばいい。仕事への意欲を維持し、トラブルを未然に防ぐことが、プロフェッショナルの条件だ。