猫白血病ウイルスは唾液からうつる

「くしゃみや鼻水が出る場合は、風邪をひいている可能性がありますし、肉球の色がいつもより薄く見えるなら、貧血を起こしているのかもしれません。目をひくひくとけいれんさせたりする場合は、花粉症などアレルギーがあることも考えられます」そう、猫も花粉症になるのだ。ただし、人間のような鼻炎、結膜炎症状ではなく、顔面のかゆみ、耳や腹回りの皮膚の炎症といった症状が現れる。こちらも命に関わるものではないものの、あまりに症状が酷い場合は検査を受けるべきだろう。

Tokyo Cat Specialists院長 山本宗伸先生 写真は愛猫のカツオくんと。

多頭飼いの場合は、猫同士で伝染する病気もケアしなければならない。

「たとえば、猫エイズは交尾やけんかなど直接の密な接触がないと感染しませんが、猫白血病ウイルスは唾液からうつるので、罹患(りかん)している猫は完全に隔離する必要があります。また、カビ菌の一種である皮膚糸状菌などは、人間から猫に、あるいは猫から人間にと相互にうつる可能性があります。感染すると人間も猫も皮膚が炎症を起こしますから、同時に治療しなければ、何度も互いにうつし合ってしまうようなことになりかねません」

愛猫との健やかな生活を少しでも長く続けるために、ぜひ肝に銘じておいてほしい。

山本宗伸(やまもと・そうしん)
Tokyo Cat Specialists院長
日本大学獣医学科外科学研究室卒業。国際猫学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。ブログ「NEKOPEDIA」で猫の健康や習性を解説。著書に『ネコがおしえるネコの本音』(朝日新聞出版)など。

撮影=相澤 正(猫)