※本稿は、「プレジデントウーマン」(2018年4月号)の掲載記事を再編集したものです。
石川純子さん 34歳 転職1回 留学
東大→日銀の子持ちエリートが流した「涙」
「自分の努力だけではどうにもならない」。そう感じる状況こそ、最大のストレスだった。東京大学を出て日本銀行に就職。結婚後、子どもにも恵まれ、公私ともに順調だった石川さんが冒頭の思いを感じたのは、夫の海外赴任が決まったときだ。
「当時、多忙な夫は午前様。両親も働いていましたし、頻繁にシッターさんに頼める経済的余裕もない。綱渡り状態のなか、それでも誇れる仕事を続けるため、最大限の努力をしていたつもりです」
夫についていくべきか否か。迷う最中に息子の体調不良や、自身の仕事の繁忙期が重なった。「このまま息子と日本に残っても、誰も幸せにできない」と、退職の覚悟を決めた。
「涙があふれました。これまで頑張ってきたことがすべて無意味に思えて……」
そんな石川さんを奮起させたのは、尊敬する元上司の一言だった。
「せっかく行くなら、向こうの大学院で次のキャリアにつながるようなことを勉強しておいで」
よし、やってみよう――。夫の協力を得て、留学準備を開始。試しに受けたTOEFLの点数は合格点にはほど遠かったが、退職金を元手に勉強に励んだ。目標が見えると、気持ちも明るくなった。