デジタルの世界にいるからこそ、人のぬくもりを
定量的なデータを踏まえたうえで、サントリーが大切にするのが「n=1の声」、つまり一人一人の声だ。ITワーカーにはどうやらハンドドリップを好むなどのこだわりがあるらしい、ということまでは調査でわかったものの、では「なぜ好きなのか?」については、実際に自分たちでインタビューして探った。
「ITワーカーの人が日記を手書きでつけていて、ハッとしました。普段デジタルの世界にいるからこそ、人のぬくもりを感じられるものがいいんだとわかり、『クラフト』を商品名に入れました」(大塚さん)
さらに売る戦略を立てるために、発売後もデータと向き合う日々が続く。「クラフトボスへの流入元を分析していると、コーヒーのカテゴリーではなく、麦茶やジャスミン茶のような、かなりすっきりとしたお茶との相関がありました。だから、お茶を買っているお客さまにアプローチできるのでは、と考えたのです」と同部の後藤由加さんは言う。
「上司は『イタコになれ』と言います」とチームリーダーの桜井弓子さんは笑うが、n=1の声を自分に宿らせることがヒットのカギだ。
(左)SNSで見つけたものはキャプチャでためまくり!
「キャンペーンを考えるときなど、仕事で使えそうな情報はインスタグラムを見つつ、ひたすらスマホにキャプチャでためています」(桜井さん)
(右)気になる数字を見つけたらふせんをオフィスにペタペタ
「うちのチームは、『この数字、何か気になるな』と思ったら、ふせんに書いてみんなが見えるところに貼っておく習慣があります」(朝岡さん)