上司に平気でごますりする男の「胸の内」
男社会では、上司に本音でぶつかって盾突くことは許されません。いつでも建前で話し、ごますりも平気なのは、男性にとって、とにかく会社に勤めつづけることが最優先だからです。それには日本企業の長い歴史も関係しています。
日本の男性の労働力率は常に世界最高水準で、よほどの理由がない限り、男性は仕事に就くのが当たり前。学校卒業以降は、働かなければ白い目で見られることになります。
ほとんどすべての男性が企業に雇われて働くわけですが、日本企業の昇進パターンは、選抜の時期が遅いのが特徴。欧米の企業では入社10年ほどで出世できるかどうかの結論が出るのに対して、日本企業では20年かかります。それまで一致団結し、滅私奉公のように働きます。もし出世の見込みなしと早々にわかれば転職できますが、40代ではちょっと手遅れ。出世競争に敗れ、年齢的に転職もできないのが“窓際族”と呼ばれるおじさんたちです。
日本の男性は、何よりもまず仕事に就くことが求められます。とにかく40年以上は勤めつづけることが第一。だから本音を隠して建前で話し、上司にゴマをするのです。
そして出世競争のなかで生き残るためには、信頼できる仲間が必要です。だから、好き嫌いで人事を決め、派閥をつくります。
結婚、出産、育児を経て働きつづける女性は、強い理由をもっていることが多いものです。社会的に失職が許されない男性は、働く動機が違います。男性社会の習慣が奇妙に見えるのは、そのせいかもしれません。