未来を考えるときの3つのコツ
さて、では未来への不安はどうすればいいでしょうか。ある先輩の僧侶が、外国人から「人生で後悔するとしたら、やったことですか、やらなかったことですか」と聞かれたそうです。すると先輩は「どちらでもありません。後悔の本質とは、やったときにしても、やらなかったときにしても、心からこれをやろうと思ったかです」と答えたそうです。つまり自分自身が覚悟を持って決めたのかどうかが、未来を考えるうえで大切なのです。
これから将来に向かってやるべきことはわかっているが、不安でできない、ということもあるでしょう。そうであれば「やらない」と覚悟することで、将来思ったようにいかなかったとしても、あの選択は仕方がなかったと納得できます。もちろん、「今、これは後回しにしよう」と覚悟するのでも構わない。少し時間を置くという覚悟も必要なのです。
未来を考えるときのコツは、3つあります。まず1つ目は、仏語でいう「観自在」。なるべく自在な考え方をすることです。たとえば、坊さんたちは紙1枚の中に雲を見ます。どういうことかというと、ただの紙だけれど、そこに雲や雨があると想像する。紙の原料がどこかの大木なら、その木を育てた太陽や雨があり、そこを巣にしていた鳥がいたかもしれない、とか。そういうことに思いを巡らし、自由な考え方をするということです。
2つ目は変化を楽しむこと。季節の変化を楽しむように、自分が年を重ねる変化を楽しむことができるならば、同じ状態を保とうと思わなくてよい。
3つ目は臨機応変であること。その場に応じて適切な行動を取れると人生は楽になります。この3つを意識するとよいでしょう。
雑誌などで頭もよくて地位も高い女性の話を読むと、「私なんて全然ダメ」と劣等感を抱いてくよくよしてしまいます。
たとえば、トラック競技に出ている人が水泳の選手にあこがれたって仕方がない。土俵が違うところで嘆くより、すてきだなと思う人がいたらその人のまねをすること。まねしていれば確実に近づいていける。
劣等感については、土俵が違う相手と比べているのだ、という自覚がまず必要です。そのうえで、その人に近づけるようにしてみるとよいでしょう。
中国に「鵠(こく)を刻して鶩(あひる)に類す」ということわざがあります。白鳥を作るつもりで木を刻めばアヒル程度のものは刻める。つまり立派な人の行いをまねして努力すれば、その人にはなれないが、それに近づくことは確実にできるという意味です。
真言宗での成仏の仕方には、仏様のまねをするという方法があります。「身口意(しんくい)」といって、仏ならどうするか、どう言うか、どう考えるか、この3つをまねしろというのです。目標にする人がいたら、まずはこの3つをまねしてみるのも一案です。
失敗の連続で自己嫌悪に陥っているのであれば、そこから避難するのもひとつの手。何事も頑張ってしまう女性ほど、こうやらねば、こうあるべきとがんじがらめになっている。そんな人は、もっと周りに助けを求めるとよいですね。