五輪がステップになり、規格競争が激化
今回の平昌の5Gデモ以降、18年中頃には、3GPPという通信システムの標準化団体が、5Gの標準仕様を定め、各国はそれをもとに導入を進めるという。20年には東京オリンピックでの商用サービスが本格化することが予想される。
日本と韓国はオリンピックをめどに、この大きな市場をめぐって、商用化をどれだけ具体的に進められるかの競争に突入しているのだ。
他国の状況はどうか。山浦さんは、「中国は独自路線で進化し、4Gに依存しないスタンドアローンという方式で、20年に商用化の計画です。また、米国は日韓のように、IoTや自動運転の用途ではない『固定無線アクセス』という使い方で、もっとも早く商用化」と話す。日本ほどブロードバンドが発達しておらず、「通信事業者から各家庭やオフィスに引き入れる固定回線の代替」としてサービスを先行させるからだ。欧州はやや遅れ、5G本格導入は20年末の予定だ。ただし、各国とも計画の前倒しを視野に入れており、想定よりも早く商用化が実現する可能性もある。
平昌オリンピックのパフォーマンスから、裏側にある規格競争にも注目すると、違った楽しみ方ができそうだ。
米国:2017年末、固定無線アクセスに限って商用化
韓国:2018年2月に平昌オリンピックで商用デモ
日本:現在、実証実験中、2020年東京五輪で商用化を本格化
中国:現在、独自規格で実証実験中、2020年商用化
3GPP(標準化団体):2018年中頃に標準仕様決定
欧州:2020年末に導入予定
写真=アフロ