今も輝き続ける「ニューヨークグリル」「オークドア」

私見だが、ホテルのレストランの大きな転換点は、パークハイアット東京(1994年開業)52階の「ニューヨークグリル」だろう。現在も好調に営業中だ。大きなオープンキッチンを抱えた、超高層階なのに吹き抜けで、現代アートのある壮大な空間。外国人シェフらによるグリルと、ときにエキゾティズムをアクセントにした先進的料理と北米主体のユニークなワインリスト……。当時はそれこそ「ニューヨークにありそうな」と思えたし、今でも色あせていないダイニングである。

同系グランドハイアット東京(2003年開業)のダイナミックなグリル料理を供する「オークドア」も非常に個性的で、ここも同じく色あせずに好調である。これらを機に、そして年月を経て、ホテルの飲食施設は磨かれていて、特に外資系ではコンセプトのしっかりした、壮観な内装の、立体性ある個性的な料理を提供する店舗が増えている。

一方の日系は、伝統、正統性、日本食材の多用とわかりやすさ、そして日本的なきめ細かさで対抗しているように思われる。上記の東京ステーションホテルや帝国ホテルはその典型だろう。要は、ホテルの飲食施設にも個性があり、自分の好みに合わせて選ぶ時代なのである。こうしたホテルのレストランは、ビジネスの会食だけではなく、“妻の接待”にももちろん好適である。

実は「妻への接待」にもピッタリ

妻たちは、小さな裏道の高級飲食店より、広く豪華でドラマティックなレストランを好む傾向があるようだ(まったくの私見)。とりわけ、記念日においてはそう思う。広いテーブルに花束を置けるホテルのレストランは、使い勝手が実によい。

そしてその真骨頂は、食事をしてそのまま泊まれるオーベルジュのような機能だろう。ゆっくり食事をして少し疲れても、帰宅せずにそのまま泊まって翌日朝食を食べてゆっくり帰れる。これは、海外でも同様だが一度経験したらやめられない。

自宅と同じ都市圏のホテルでもいい。出張に妻を同伴して他の都市で行うのもこれまたよし。ホテルの使い方次第で、家での自身の株が上がるだろう。

(イラスト=富田茜)