ほかの自転車と衝突し、私も相手もケガをしました。「あなたの不注意」と、相手は治療費と自転車の修理費用などを請求してくるし、私の分は帰宅中の事故だから労災がおりると思ったのに、「スーパーに立ち寄ったためにおりない」と言われました。お迎え前の立ち寄りが保育園で禁止されているから保育園の帰りにスーパーに寄ったのに、子どもがぐずりだしてしまって注意散漫に。ぶつかった私が悪いのは認めますが、保育園の前にスーパーに行けたらこんなことにならなかったのにと思うと、いろいろ納得いきません!
▼答えてくれたのは……一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会の方々
協会代表理事・FP 鬼塚眞子さん/弁護士 丸尾はるなさん/弁護士 山岸潤子さん/税理士 林 良子さん
スーパーに立ち寄っているので、労災は厳しい
【山岸】労災は、業務中と、通勤と帰宅中のケガに対しております。通勤の場合は会社から自宅までの区間のことで、合理的な交通経路だったかをしっかり調べられます。仕事帰りにお子さんを迎えに行くための保育園は労災になりますが、スーパーに寄っているので厳しいと思います。
【丸尾】労災はともかく、保育園の前にスーパーに寄れないという決まりは、各保育園が決めていること。同じように不便に感じているお母さんがいるなら、みんなで園に相談しましょう。
「帰宅途中の事故」専門家4人の本音トーク
【山岸】自転車事故で損害賠償を請求されたとき、自己破産しても免責されるとは限りません。
【林】最近自転車保険に入っている人も多いですよね。自転車に乗っていない状況でも、交通弱者の特約もつけることができますし、弁護士と相談できたりすることもあるので、人の事故、自転車事故の対人のために、心配なら保険加入を考えてもいいかもしれませんね。
【鬼塚】自転車保険はひもとけば個人賠償保険と医療保障なんです。でも自転車保険ではなく、自動車保険や火災保険にプラスしたほうが保険料は安くなる場合もあるので、今入っている保険を見直すのが賢いかもしれない。保険はいくつも入ったところで焼け太りをしないのと一緒で、法的に認められている賠償額以上は出ないので、保障と保険料の無駄にならないよう、注意してください。
弁護士、税理士、社会保険労務士、FP、金融関係者、医師、不動産関係者、介護福祉関係者、不用品回収業者、印刷業者など、それぞれに活躍する実務経験豊富な各分野の専門家で構成。契約企業に出向き、介護・事業承継・相続問題のほか、夫婦・家族の問題などに悩む社員の個別相談にワンストップ・ワンテーブルで対応。セミナー研修などを行っている。
鬼塚眞子
一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表理事・FP。大手雑誌社勤務後、出産のために退職・専業主婦に。その後大手生命保険会社の営業職として社会復帰。業界紙記者を経て、保険ジャーナリスト、FPとして独立。認知症の両親の遠距離介護を機に、同協会を設立した。
丸尾はるな
弁護士。弁護士登録7年目で独立し、「丸尾総合法律事務所」開設。弁護士歴約10年でありながら、個人の一般民事事件、家事事件、企業の法律相談、訴訟案件など、幅広い相談に対応し、時代にあわせたサポートを行う。
山岸潤子
弁護士。仕事と子育てを両立する、弁護士歴約20年のベテラン。非常勤裁判官経験もあり、現在は東京家庭裁判所調停委員も務める。子どもの権利委員会、少年法委員会、男女共同参画推進プロジェクトチームほか、多くの弁護士会の活動にも携わる。
林 良子
税理士。一般企業の経理などをしながら税理士試験に合格。現在は内山・渡邉税理士法人の社員税理士であり、租税教育の講師も行う。得意分野は資産税(相続税・譲渡所得税)を中心とした税務コンサルティング、法人税、所得税の節税対策。
編集・構成=干川美奈子 撮影=干川 修