「子の事件」専門家4人の本音トーク

【鬼塚】万引きとかカツアゲとか、お金がらみの場合と、ケガをさせてしまうのでは、罪はどちらが重いんですか?

【山岸】子どもの場合は、ケガをさせたほうが重くなります。

【丸尾】抑止力を考えてでしょうけど、オレオレ詐欺は子どもでも扱いが重いですよ。LINEで「仕事あるよ」って誘われて簡単に手を出しちゃったりするので。お金の受け渡しを手伝うだけの受け子役をして少年院に入ったケースもありました。

【山岸】少年院と聞くとショックを受けるかもしれませんが、刑事コースではなくて、家裁コースで、保護処分の1つ。少年刑務所ではないので、育て直しをする場所です。

【丸尾】パンチパーマでだぶだぶのジャージを着ていた子が、少年院から帰ってきたら、パステルカラーのカーディガンを羽織って、サラサラヘアーで。「少年院でいろんな人に会えたのが良かったと思います」って挨拶に来たときには、子どもってこんなに変わるんだって驚きました。

【林】悪いことをやってきても、更生する人はすごいですよね。大人になって立派な経営者になっている方とか、うちのお客さまにもいますよ。成功している方も多いと思います。

【丸尾】感受性が強いんでしょうね。世の中の矛盾にも反発するし。

【山岸】暴力団と関連していなければいいんですよね。親や友人がかかわっていたりすると、出てきてもそこからなかなか抜け出せなくて。

【鬼塚】少し上の年齢の話になりましたけど、このケースだと、お子さんに心理カウンセリングを受けさせるのも必要じゃない? ADHD(注意欠陥・多動性障害)ということもあるかもしれない。

【山岸】カウンセリングはお金がかかりますから、各都道府県にある児童相談所に相談に行かれるのも手ですね。あとは学校にスクールカウンセリングがあれば、そちらを利用されるとか。

【丸尾】特に問題を起こすお子さんの家族関係を見ると、お子さんにかける時間が少なすぎるんじゃないかな? と感じることはありますね。お母さまも葛藤しながら子育てされていると思うので難しいのですけど、もう少し、お子さんがなにを考えているかに目を向けるようにしてやると関係が変わっていくかもしれないですね。

【鬼塚】仕事を持つお母さんは「私だって限られた時間のなかで、精いっぱいやってるのに!」と思って悲しくなるときもあるかもしれないけれど、子どもはそのときはわからないもの。何度も裏切られた思いを持つかもしれないけど、諦めないでほしい。子どもは覚えていますから。

夫婦間DVは子どもに見せてはいけない!
【山岸】DV(ドメスティック・バイオレンス)には、殴る、蹴るといった「身体的暴力」、性的行為の強要といった「性的暴力」、暴言や制限・監視、生活費を渡さないといった「精神的暴力」があります。2004年の「児童虐待の防止等に関する法律」改正で、「夫婦間のDVの目撃が子どもへの精神的虐待になる」と明確化されました。子どもの虐待を調査している福井大学の友田明美教授らの調査によると、実際、DVを目撃している子どもには脳の視覚野への障害も見られるそうです。