半年分の生活費ぐらいは預貯金に

なお、この計算には手数料や税金などのコストが含まれていないので、実際の手取り額はもっと減ります。預貯金と比べ、投資ではコスト意識が重要。手数料の安い商品を選び、株や投資信託の運用益が非課税になる「確定拠出年金」や「NISA」の制度を上手に利用しましょう。取引もネットを使えば、手数料が安くなります。

運用にどれだけ投資をとり入れるかは、自分がどれだけリスクを許容できるかで判断します。とはいえ、全額を投資するのはもちろんNG。少なくとも半年分の生活費ぐらいは預貯金で持っておくのが鉄則です。

一方、「損するのは絶対イヤ」という人は、無理に投資する必要はありません。収入を増やして積立額を増やしたり、老後の生活をもっとコンパクトなものに見直すなど、ほかの方法を検討しましょう。

手間をかけたくない人にピッタリ
●投資信託

投資信託は、株や債券など多くの投資先を組み合わせたパッケージ商品のようなもの。日本株だけ入れたもの、外国株だけのもの、債券も入れたものなど、さまざまなタイプがあります。

どんなタイプにするかは投資信託会社が決めて、投資のプロが運用します。投資家は、このパッケージを“小口買い”するしくみです。購入できる金額は、1000~1万円程度。そんなに少ない金額で、多くの投資先に投資できるのが最大の魅力です。

たとえば、1つの会社の株だけ買えば、その会社が倒産したら資金はゼロになるかもしれません。投資する会社が複数なら、そうしたリスクを減らせます。これが、分散投資の効果です。

また、自分では買うのが難しい外国の株や債券にも、手軽に投資できます。投資信託を上手に使って、日本や外国の投資先に幅広く分散投資すれば、比較的、安定した投資が可能になります。手間をかけない“じっくり投資”にピッタリといえるでしょう。「日本株型」「外国株型」など複数の投資信託を組み合わせてもいいし、最初から全部入った「バランス型」というタイプもあります。

投資信託を選ぶときに注意したいのが“コスト”。投資信託には手数料がかかるので、注意が必要。

特に問題なのは、毎年かかる信託報酬(運用管理の手数料)です。安いのは、特定の指数に連動する「インデックスファンド」。一方、より高い収益を目指す「アクティブファンド」は、運用に手間がかかる分、信託報酬も高くなります。

また、複利効果を得るために、定期的に出る分配金は、受け取らずに再投資するタイプを選んでください。

投資信託は金融機関で積み立て購入もできます。税金が安くなる「確定拠出年金」制度も、投資信託の積み立てが中心。ぜひ活用しましょう。