たくさんのお金の悩みに接してきた、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。プロの立場から、また働く先輩として、お金の不安への向き合い方をお聞きしました。

先のことはわからないから貯められるうちに全力で貯めるべき?

お給料は増えないかもしれないし、仕事をいつまで続けられるかわからない。だから貯められるうちに貯めなくちゃ……。「将来に不安があるから、とにかく今頑張って、早く安心したいと考えがちですよね。気持ちはよくわかりますが、ちょっと考えてみてください。老後を意識しすぎるあまり、大切な“今”を犠牲にするのはもったいないですよ」

そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。頑張りすぎて心身のバランスを崩してしまう人もいるし、驚くほどお金を持っているのにまだ不安という人も少なくないといいます。お金は何かをするために蓄えるのであり、楽しむことを一切我慢して貯めることを最優先するのでは本末転倒です。

畠中さんが考える、毎月、貯蓄したい金額は下記のとおり。ボーナスからは20%を貯めるのが理想です。頑張りすぎている人はちょっと一息入れませんか?

<手取り月収のうち、これくらいを貯蓄に回すといい>
▼Single
1人暮らし……10%/実家暮らし……30%
▼Dinks
……15%
▼Family
子どもが小3まで……10%/子どもが小4~小6まで……8%/子どもが中学生…6%/子どもが高校生……3%/子どもが大学生……ゼロ/子どもが大学卒業後……30%

「上手に貯められるのは、頑張りすぎず、長く続けられる人。目標額に達するとさらに高い目標を立てがちですが、心身がダメージを受けていないか、考えてみるといいですね」

3000万円貯まらなかったら……老後は暮らせない?

「大丈夫ですよ。3000万円なくても、しっかり生きていけますよ」と、畠中さん。

「老後に必要なお金の目安は年金で足りない額の30年分。いくらで生活できるかは人によって異なりますから、誰しもが絶対に3000万円必要というわけではないのです」

習い事をして、海外に出かけ、リフォームもして、快適な高齢者施設に入って……など。あれもこれもと考えていると、必要な金額はどんどん膨らみますが、「現役のとき上手にやりくりしていた人が、リタイア後、急に贅沢したりはしませんよね。ある人はあるなりに、ない人はないなりに、使える範囲のお金で上手にやりくりできるものです」。

自分はいくら必要かがわからないと不安が募るだけ。ざっくりでいいから電卓をたたいてみましょう。

「現在の高齢者も生活費は年金で賄っている人が少なくありません。今の20代、30代はお金をあまり使わないので、公的年金が現在の6~7割程度に減っても基本的な生活費は足りるのではないかと思います。リタイア後、月に数万円稼ぐ準備をしておく、という手もありますよ」