資産の額と幸せの量は比例する?

人から優しくされるのは自分がお金持ちだから、という想いが消えないAさん。町内の仕事を定期的に手伝ってみんなに喜ばれ、少額の謝礼を貯めて家族にプレゼントするのが嬉しいBさん。「Bさんのほうが幸せそうですよね。お金があっても心が伴わなければ寂しい。資産の額と幸福感は比例しないと思います」

畠中雅子●ファイナンシャルプランナー。家計管理、生活設計、生命保険など、幅広い分野を得意とし、具体的、現実的なアドバイスが人気。『サヨナラお金の不安』(主婦の友社)、『知らないと絶対にソンをするお金の話』(辰巳出版)など、著書多数。

畠中さんが自身の経験からもうひとつ話してくれたのは、背伸びしても幸せにはなれない、ということ。

「高級な介護付き有料老人ホームに憧れ、なんとかお金を貯めようと思いましたが、3回目の見学のとき、私は資産家が集まるこの場所にはなじめないと気付きました。高級なことではなく、自分にとって居心地がいいことが大切なんですよね」

趣味もなく、友人もいないのでは幸せとはいえません。

「お金をかけないレジャーも、それなりの贅沢も、臨機応変に、自分らしく楽しめる人が一番ハッピー。お金もそこそこ必要ですが、いろいろな人と付き合い、経験や知恵を重ねていくことも大事だと思います」

 

減るのが怖い! 投資はしなければだめ?

お金を有利に増やすには効率的ですが、『投資は怖い』という人も。どうしても投資は必要?

「お金の運用で一番重要なのは、自分に合う方法を見つけることです」

たとえば貯蓄はどうしても引き出してしまうけれど、保険なら続けられるという人は「保険で貯めるのもあり。効率的ではありませんが、貯まらないよりはずっといいです」。

投資については、「何かやってみることが大切。私も株式投資に熱中した時期がありましたが、気になって仕事に集中できないときも。これは向いていないと思い、買値、売値を決めて自動的に売買できる方法に変更。今はマイペースで投資ができて、苦手意識はなくなりました」。

合わないと決めつけず、まずは一歩を踏み出す。軌道修正しながら自分なりのやり方を見つけましょう。

「若いうちにいろいろ経験しておけば、退職金など、まとまったお金を手にしたときに大きな失敗をせずに済みます。人の話を鵜呑みにすると経験になりませんから、自分で判断することを心がけてくださいね」