4. 言いにくいこともハッキリと!

こんなことを言ったら「他人から嫌われるのではないか」「組織のなかで立場が悪くなるのではないか」などと考えると、伝える力が自然と弱くなってしまいます。私はいま本気で「都民ファースト」を実現したいと考えていますから、言いにくいことでもハッキリと申し上げます。達成したい目標があるので、まったく躊躇(ちゅうちょ)しません。

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いろいろとしがらみが多かった衆議院議員時代に比べると、いまはずいぶんと自由にモノが言えます。ハッキリ言いすぎて返り血を浴びることも多いのですが(笑)。

自由に発言できるといっても、何でも口にしていいわけではありません。なかでも避けなければいけないのが下品な言葉づかいです。都議会や国会で下品なヤジが飛ぶことがありますが、言った人の人格まで疑われかねません。ですから自分が使う言葉が下品になっていないかはいつも気にしていますね。

気にかけているという意味では、カタカナ語の使い方にも気を配っています。私は「レガシー」や「サステイナビリティ」「ダイバーシティ」など、海外から入ってきた言葉をあえて翻訳せず、そのまま使います。

レガシーを「遺産」と訳すとレガシーが持つ本来の意味からずれてしまいますし、サステイナビリティを「持続可能性」、ダイバーシティを「多様性」と言われるとピンときません。残念ながら日本にはまだこれらのコンセプトがないのです。

まさに私がいま都政で挑戦しようとしているのは、これまで日本になかったコンセプトを推し進めることです。だから新しい言葉が定着するまで徹底して使うつもりです。フレーズを浸透させるには繰り返し使うことがポイントですね。環境相時代の「クールビズ」のフレーズも、最初は変な言葉に聞こえたかもしれません。しかし私や周りの人が使い続けることで定着し、流行語大賞の一つにまで上り詰めたのです。

▼小池語録

「それは失礼なんじゃないですか」
2016年12月2日の記者会見で、東京オリンピック・パラリンピック会場の見直し問題に関して記者が、既存の横浜アリーナ開催を断念し、計画どおり新設の有明アリーナで行うならば「大山鳴動して鼠一匹といいますか」と発言したところで、笑みを浮かべつつ、しかしキッパリと批判した言葉。

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