ファシリテーションとは、会議や対話の場において、そこに参加する人たちの意見を引き出し、まとめるコミュニケーションスキルです。と同時に、複数の相手に対して気持ちよく話をさせるムードメーカーとしての役割も担います。
コーチングが1対1で行うものに対し、ファシリテーションは複数人を扱うコミュニケーションスキル。扱う人数が増えてくると必然的に人間関係が影響し、そこに参加する人たちにとって話しやすい場をつくる環境整備をする必要もあるのです。
ではどうしたらうまくファシリテーションできるようになるのでしょう。ファシリテーションには大きく分けて2つのスキルが必要です。1つめは「対話」のスキル、2つめは「書く」スキルです。
はじめに対話のスキルについてご説明します。ファシリテーションは、単なる司会進行とは違います。場を活性化し、意見を引き出すには、ファシリテーターがシンプルで効果的な質問をすることが重要です。
例えば、発言内容をもっと広げたい場合は「ほかには?」という言葉を、深めたい場合には「具体的には?」「例えば?」といった言葉を使うことで、発言が促され、ぐっと話しやすくなるんです。
さらにこのときに意識してほしいのが聞く態度です。イメージとしてはインタビュアーのようにイキイキとした表情で、相づちやうなずき、復唱などを適宜入れる。たったそれだけで話し手にとって話しやすい環境となり、場の雰囲気も良くなります。日常会話でも意識してみると練習になりますし、相手との関係も良いものになりますよ。
次に書くスキルです。苦手意識を持つ方が多いですが、ポイントを押さえ回を重ねればうまくなります。
初心者へのおすすめは、自分のためではなく“誰かのためのノートをとる”こと。このときのポイントは、完璧を求めないことです。会議の場にいなかった人に対して、口頭説明とともにそのノートを見せ、会議の内容が伝わればOK。これを繰り返し実践することで、誰もが見やすいノートを書けるようになります。
ノートをうまく書けるようになったらホワイトボードを活用しましょう。複数の参加者がいる場合、意見や情報を可視化できるホワイトボードは必須アイテム。いきなり会議中に書きはじめるのはハードルが高いので、まずは事前に、ある程度のフレームを書いておくとよいですね(写真参照)。