▼週末起業フォーラム主宰 藤井孝一さんから
提言:勇気ある実践者が増えることが世の中を動かす

少しずつですが、世の中は副業を認める方向に動いています。たとえば2016年、安倍首相を議長とする経済財政諮問会議の民間議員が、会社員の副業を促進するよう政府と経済界に要請する方針を固めました。同年の4月には、ロート製薬が社員の副業を推奨する制度を導入しています。

でも、副業が当たり前になるには、まだ時間がかかると思います。実際、私が副業していた15年くらい前から、何度も「ついに副業社会到来」といわれてきました。しかし、中小企業庁の調査では、社内規定で副業を容認する企業は、今も3.8%。企業にメリットが少なく、反対にノウハウや顧客情報の流出など、デメリットが多いからです。

もちろん、声は上げ続けるべきです。ただ、時間はどんどん経っていきます。

であれば、座談会に参加した3人の方のように内緒で始めてはいかがでしょう。そもそも、副業なんて、会社の許しを得て始めるものでもないでしょう。

「ばれたらどうするんですか」と言われそうですが、副業自体は法に触れるわけではありません。ばれても即解雇というより、厳重注意くらいでしょう。

もちろん、それもいやでしょうから、ばれないようにやりましょう。人前に立つ仕事は、思わぬところで見つかります。また、給与をもらうと、税金の手続きでばれることがあります。マイナンバーの普及で、そのリスクはさらに高まります。

一方、ネットが普及した今、実名や顔を表に出さず、家でできる仕事はたくさんあります。個人事業主の形態なら、納税時にばれることもありません。

もちろん、リスクはあります。ただ、世の中を変えるのにリスクは伴うものです。勇気ある実践者が増えることこそが、世の中を動かす原動力になるのではないでしょうか。

市来朋久=撮影