――現状に満足していますか。

【北川】収入面は頑張れば頑張っただけ上がるのはいいと思いつつ、本業がパートタイムの契約社員なので、会社の社会保険や雇用保険、年金に入れないのは大きいマイナスですね。

【小林】やはり、今いる省庁も前の会社も副業していることが言いづらいのがしんどい。今の職場の人に私が別に会社をやっているなんて大っぴらに言ったら、ありえないと思われますよ。昭和的価値観なので(笑)。

【才賀】副業をしなければいけなかった理由は正社員としての給料が少ないからなのに、なぜ会社がそれを禁止しようとするのか、理由がわかりません。今は、派遣と複数の仕事で収入が以前よりずっといい。その点は満足ですね。

【小林】でも、非常勤は長い目で見ると不安定な立場ですよね。

【北川】ええ。それに日本は、一つの会社に勤めていなければ半人前という価値観がいまだに支配的。たとえば、私は前職を辞めた後、失業保険をもらおうと役所に行ったのですが、そのとき、クラウドでお仕事をしていたため、「働いているならダメ」とあやうく失業保険がもらえなくなるところでした。役所の人は、「クラウドソーシング」の概念も知らないんですよ。

【小林】悪いことをしているわけではないのにね……。国も「一億総活躍」を掲げるなら、子育て中や介護中の女性、複数の仕事をしていろいろなスキルを獲得したい女性に向く副業をむしろ企業に推進してほしい。ただし、「副業OK」となっても企業風土が変わらないと、おそらく形骸化して終わるでしょうね。会社は多様な働き方を認めるべき。会社としても新しい風を取り入れたいときに特殊なスキルを持った社員はありがたいでしょうし、ずっと雇用して社員の生活を保障する時代でもないのですから。

【北川】公務員は副業が禁止されていますが、たとえば地方の役所などは、田植えのシーズンに職員が休みをとって農業に専念してもいい。一般企業でも、フレキシブルな働き方を認める動きが加速してほしいですね。

▼「副業の推進」に関する要望書

副業の推進について下記により要望いたしますので、宜しくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。

(1)すでに終身雇用が崩壊しているのだから、大っぴらに副業ができる社会をつくっていくべきです。
(2)多様な働き方に対応するために雇用保険などの制度設計の見直しをお願いします。

以上 第17回 座談会参加者 一同