▼アメリカの働く女性のリアル
『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』シェリル・サンドバーグ/日本経済新聞出版社
フェイスブックのCOOによる、女性のキャリア達成のための方法論や歴史、障壁をまとめた本。女性が職場でリーダーシップを取るときにつきあたる偏見、差別、家庭内の仕事は低く見積もられるといった社会的な障壁、また、性役割を女性自身がつくってしまう問題なども検証。
『管理される心 感情が商品になるとき』A・R・ホックシールド/世界思想社
サービス業や営業など人と接する労働者は、客に「心」を売らなければならず、現代は感情が商品化される時代といえる。そして女性はとくに、実務以外にも「職場の華」としての役割や「癒やし」であることを求められるなど、「感情労働」の担い手とされがちであると看破した本。
▼男性の行動原理をウラ読み
『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』ジェーン・スー/ポプラ文庫
一見、男性の行動原理や女性の陥りやすい行動パターンを結婚や恋愛に関連した項目で、痛快に解説しているかのようで、いかに男心を捉えるかという「実践知」の本に見えるが、ウラから読めば、社会的な男女の役割、女性はどのように行動することを期待されているかも見えてくる本。
▼心の背筋がピン! と伸びる
『ガール』奥田英朗/講談社文庫
働く30代女子を描いた小説はたくさんあるが、これほどバリエーション豊かに、ステレオタイプに陥らないものも珍しい。確かな観察眼にもとづいて、女性を生き生きと描いた出色の短編集。これが女性の書き手でなく、ベテランの男性作家の手になるという事実にも勇気づけられる。
『自分の感受性くらい』茨木のり子/花神社
こうすればうまく生き抜ける、といったハウツー本のように、すぐにやる気が起きるといった即効性はなく、じわじわと心に染み込み、すっと心の背筋が伸びていくような言葉が並ぶ。いわば魂が強くなる詩集。一篇一篇はとても短いので、通勤電車の中などで読むのもおすすめ。