電話を切られても、手紙と菓子折りを持って謝罪に
●日本ロレアル プロフェッショナル プロダクツ事業本部 広報本部 部長 安尾美由紀さん
美容室の皆さまのおかげで、クレームを受けた経験は多くはないのですが、ゼロでもありません。残念ながら発生してしまった場合には、ありきたりですが、相手の話を聞いて対応し、誠心誠意、謝りたいと思っています。
一度、取引先からクレームのお電話を受けたことがありました。部下が「そうですよね」と相づちを打ったら、「そうですよね、じゃないだろ!」と言われてしまい……。そのあと、部下から「安尾さんならどう言いましたか?」と聞かれたときに、「おっしゃる通りです」ではないかと思いました。それが浮かんだのは、お客さまに対応してきた、これまでの経験からだと思います。「そうですよね」も悪くはなかった。私も言ってしまうかもしれません。けれど、お客さまには「なに人ごとだと思ってるんだ」というふうに受け取られてしまいました。そのあと、私が電話をしても「おまえの話なんか聞きたくない!」と切られてしまい、かけ直しても「うるさい!」と取り付く島もありませんでした。
そこで終わったら永遠に途切れてしまうので、地方の取引先だったのですが、住所をもとに訪ねていきました。アポなんてとらせてもらえるわけもなく、会えたらラッキーという気持ちで。結局いらっしゃらなかったのですが、ドアノブに手紙と菓子折りをかけて帰りました。私なりの誠意を尽くすことで、その後、許していただくことができました。
1983年生まれ。2007年入社。客室乗務員として3年間活躍後、広報部にてテレビや雑誌、ウェブを担当するメディアチームに配属。最近ゴルフに行く機会が多いが、なかなかスコアが伸びないのが悩み。
尾縣香名子
コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 広報部 部長。1973年生まれ。総合商社にて7年間貿易アシスタントとして活躍。2002年より日本コカ・コーラにて役員秘書、社内広報、社外広報を歴任。13年、コカ・コーライーストジャパンに入社、新広報組織を立ち上げる。
安尾美由紀
日本ロレアル プロフェッショナル プロダクツ事業本部 広報本部 部長。1967年生まれ。明治学院大学卒業後、91年、コーセー入社。美容部員を経験後、美容部員教育部。96年日本ロレアルに転籍入社し、98年より広報。7つの美容室流通ブランドと取引美容室のPR、社会貢献を担当。1児の母。
新田理恵=構成 前 康輔、干川 修=撮影