例えば、「私が大事にしているのは、人との出会いです」と言う場合。「人との出会い」太字です。

最初は手を机の上に置いておく。

「人との出会い」というところで手を動かします。ただし、膝の上にあった手がいきなり動くととってつけたようになってしまいます。机の上に置いていた手が動くことがポイントです。あるいは、「私が大事にしている」の「私が」と言うときに自分の胸の前に手をあて、「人との出会いです」で手を振る。これなら自然ですよね。ジェスチャーは難しいと感じる方も、「私」という言葉を話すときに胸に手をあてるだけでも、ジェスチャーを使いこなせるようになりますよ。

もともと女性にはブレスレットやリング、時計など、手の周りを装飾するアイテムが多くあるだけに、手は男性よりも目立ちます。ネイルという武器もあります。

こうした女性ならではの利点を活かしながら、手のジェスチャーやしぐさをうまく使うことで、「私」を伝えていくことができるでしょう。

 
矢野 香
信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。NHKキャスター歴17年。大学院で心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号取得。現在、国立大学の教員として研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職などに「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。全国から研修・講演依頼があとをたたない。著書に『「きちんとしている」と言われる「話し方」の教科書』(プレジデント社)など。http://www.authenty.co.jp/

坂口さゆり=構成 米山夏子=イラスト