社会人とオリンピック二足のわらじで掴んだ夢

【中村】私がラグビーを始めたのは大学4年の終わり頃。そのまま社会人になってラグビーを続けたのですが、当時は代表に決まっているわけでもなく、職場でも言い訳などまったくできない立場。それでなくても、社会人1年目って、思い知るわけですよ。自分がいかにポンコツかっていうことを(笑)。ポンコツなのに、遠征や合宿で度々休むことが本当に申し訳なくて。でも、とにかく誠実に。時間がないから適当にやるのではなくて、時間がなくても自分にできる限りのことを120%でやるということは、常に考えていました。その経験のおかげで精神面が強くなれた気がします。

【写真上】中村主将(左)と浅見コーチ(右)。日々100%の力を注いでチームをリオへと導く。【写真下】常に「これはオリンピックの決勝でするプレーなのか?」を問いながら練習を重ねていく。目指すはもちろん金メダルだ。

【浅見】私も12年にヘッドコーチに就任するまでは高校の体育教師として働いていました。試合や合宿で抜けるときは心苦しかったですね。他の先生の休憩時間を削って授業をお願いするわけで。でも、何かを達成するため、人に動いてもらうためには、何よりも、最大限の準備が必要だと知りました。それは競技生活にもコーチ生活にも活きていますね。

【中村】私がいたマスコミ系の会社にはラグビー関係者がすごく多くて。「ラグビーをやっている」っていうだけで仕事の情報交換がスムーズにいったり、逆にラグビー情報をいただけたり……。今は休職中ですが、両立してきたことで得たものは大きいですね。

【浅見】もちろん、夢に集中できることは理想ですが、社会人として学んだことは、夢をかなえる大きな力になっていると思います。