増収でも実質は減収のワケ
次に、売上高にも着目してみましょう。
利益とは裏腹に、直近13年間の売上高はそれほど深刻な印象を与えません。それどころか、2014年12月期までは4期連続の増収です。一見、大きな問題がないように思えますが、それにはカラクリがあります。
まず売上高が急激に伸びた2012年12月期ですが、実はその期の3月期にニッセンHDはシャディおよびその子会社を買収しています。シャディは東京にある儀礼ギフトの販売会社で、連結子会社を含めた年商は、2011年3月期では888億円です。
売上の増加は買収による影響であり、2012年12月期にはシャディ関連の売上高が約9ヶ月分しか計上されなかったのに対し、2013年12月期には1年分計上されることで売上がさらに伸びたように見えます。
また、2014年12月期にはシャディを含む5社の連結子会社が決算期の変更を行った関係で、それらの会社の15か月分の売上高が計上されています。そのためニッセンHDは2000億円を超える過去最高の収益をたたき出したのです。これも実態として事業が伸びているわけではありません。2015年12月期にはどの連結子会社も通常通り1年分の売上が計上されるということで売上がその分前年度に比べて減ります。
買収や決算期の変更による影響を除くと、会社の売上は実は減り続けています。決算説明会の資料をもとに、2011年12月期からの5年間の売上をその内訳ごとの推移は図のようになります。
メインのニッセン事業の売上は客単価の低下や客離れなどで年々減っており、シャディに関しても決算期変更の影響を除けば売上の減少傾向が続いています。この図より、両方とも事業がうまくいっていないことが分かります。
以上から、グループ全体で売上が伸びていたのはもっぱら買収や決算期変更の影響であり、個々の事業では減収を続けていたという深刻な事態がうかがえます。こうした事態が赤字につながっていたのです。