女優・吉田羊という生き方が示す「現代アラフォーの振れ幅」
さて、日本のアラフォーなる年代の女に、これほどの生き方の振れ幅が許容された時代、社会的承認が与えられた時代が、これまであっただろうか? 女の価値は24までという「クリスマスイブ説」やら、30過ぎたら女の「賞味期限」、35でもはや「消費期限」だ、だから35歳超えの女性求人など存在しないのだともっともらしいお題目など、かつての諸説によればアラフォーなんて完全に腐った果実、「廃棄ボックス行き」扱いだった。
やたらと崖っぷちで人が殺されて温泉に浸かる2時間枠のサスペンスドラマや、ロマンティックを超越してサイコな昼ドラではなく、日本の家庭の皆さんが家族で見るようなゴールデンタイムの番組に数多のアラフォー女優がフィーチャーされ、活躍している現在。ルックスだけではない、感情と頭を持った「人物」として描かれ、「イタい」のではなく「素敵な」鑑賞の対象として成立している現在。崩れていない体とシワのない顔だけが画面上に許されるのでなく、維持しようとする努力の中に顔を出す、年齢を感じさせる曲線を「醜い」ではなく「美しい」「味がある」と表現できるようになった現代。そういえば私たち女は、上の世代よりもだいぶ広い選択肢を手にしているのではないか。自分の母親が40の時、彼女たちにここまで自由でいる力はあっただろうか。
したがって、私は思うのだ。娘ほどの若さの女と交際しスキャンダルになる俳優たちがさんざん存在するのと同様に、息子ほどの若さの男と交際してスキャンダルになる吉田羊は、現代の「自由な力を持つ女」の筆頭だと。技術のおかげで肉体の若さを維持し、情報のおかげで感性の若さを維持し、自分の稼ぎで男におごり、自分の部屋へ連れ帰る。スゴイなぁ、羊ちゃん。羊ちゃんならそれができるし、似合う。だから羊ちゃん、どんどん行くところまで行って、同じアラフォーの私たちに夢を見せて欲しいのだ。『アラフォーは吉田羊の夢を見るか?』、答えはたぶん、ちょっとくらいイエスだ。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。