OHANA精神を広める

入社時は300人程度だった社員が今は900人を超えました。会社が大きくなってもきちんとOHANAカルチャーを伝え、共有しなくてはいけませんから、「Chatter(チャター)」という弊社が提供しているコラボレーションツールで、透明性の高いコミュニケーションを図るようにしています。

石井さんのストレス発散法:あかすり

たとえば、ドライになりがちな指示や連絡も顔写真も表示されるチャットならソフトに伝わりますし、指示に対して対面のときと同様に「そんな短期間ではできません」と反論することも可能です。そういう履歴が全部残り、また後で情報を探すこともできます。こういうテクノロジーに加え、やはり日本人ですからそれだけでは連帯感が生まれないので、去年からはローテクノロジーのコミュニケーションも取り入れました。

たとえば金曜日の夕方5時くらいから「アロハ・ハッピー・アワー」を設け、社内のキッチンのようなところでビールなどを出し、みんながふらっと立ち寄って気軽に話せるような場を作りました。「ファミリーデー」という社員の配偶者やお子さんたちに来てもらう日もあります。セールスフォース・ドットコムと言ってもどんな会社かわかりません。「ホース? どんな馬ですか?」とおっしゃる方もいます(笑)。家族に職場を見てもらえれば、こんなちゃんとしたオフィスで働いているんだと安心してもらえます。

また、社員のボランティア活動に対しては会社が全面的に支援しています。年間7日間のボランティア休暇が取れ、それを56時間働いたものとみなします。社員の時間の1%と製品の1%と業績の1%を社会貢献に使いましょうという「1-1-1モデル」に則っています。

Chatter(チャター)を介して稲刈りの手伝いや田んぼ整備など、いろんなボランティア募集の声がかかります。ほかにもフードバンクの袋詰めとか、ホームレスの人たちのための炊き出しとか。ふだんは顔を合わせない社員同士が3時間、4時間、手を動かしながら会話をし、強いきずなが生まれていきます。何カ月か後にまた一緒にボランティアに行こうという関係も築けます。テクノロジーと人の触れ合いの両方でOHANA文化を広げる活動を頑張っているところです。

●石井さんのキャリア年表

1992年(24歳) 東京大学農学部を卒業/三菱商社入社
1999年(32歳) スタンフォード大学へ留学(01年MBA取得)
2001年(34歳) デトロイトコンサルティングに転職
2003年(36歳) グロービスに転職
2005年(38歳) フェデックスキンコーズ・ジャパンに転職
2010年(42歳) クラフトフーズ・ジャパンに転職
2012年(44歳) セールスフォース・ドットコムに転職

構成=Top Communication 撮影=向井 渉