<気になる住宅ローンは一部減免も>

住宅ローン返済中に被災して住宅が壊れると、ローンを払いながら賃貸住宅を借りたり、または仮設住宅に住むことになり、住まいの負担が増えます。新たに家を買うならば二重ローンになってしまうでしょう。住宅ローンについては借り入れ銀行と交渉することになりますが、交渉はうまくいかないことも多いです。

しかし、奇しくも熊本地震前の4月に運用がはじまった全国銀行協会が事務局の「自然災害による被災者の債務整理によるガイドライン」にて、条件を満たせば住宅ローンの免除・減額を受けることができるようになりました。

災害救助法の適用を受けた自然災害の被災者で住宅ローンの返済ができない人は、ガイドラインの手続きを希望することを銀行に申し出てください。その後、国の補助により弁護士などの登録専門家による手続きを無料で受けることができ、債務整理を支援してもらえます。生活再建に必要な現金を手元に残したあと、できる限りのローンを返し、返済しきれない分は減免になります。

ガイドラインを利用すれば自己破産を免れ、その後、新たな住宅ローンを組むこともできます。窓口は借り入れ銀行なので、相談してみましょう。

<自らの力で住宅を確保できない人は「仮設住宅」へ>

災害により居住する住宅がなくなり、自らの力で住宅を確保できない人は自治体が建設する仮設住宅へ入ることができます。

今回の熊本地震で、熊本市長は、仮設住宅の建設費に58億5900万円、「みなし仮設住宅」として民間の賃貸住宅などを借り上げる経費に13億9700万円を充てると発表しました。これから申し込みが始まるでしょう。

<年金や税金なども減免される>

災害の規模や被災程度に応じて、税金や保険料などの減免や控除を受けられる場合もあります。一覧表にしましたので、放っておかず手続きをしましょう。

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【上】災害時には税金なども減免される【下】災害時、子どもの学校への復学支援

被災時の税金の減免には、損害額に応じて課税所得が控除される「雑損控除」と、「災害減免法」で定めた条件で税額そのものを減免する制度の2つがあります。「雑損控除」は災害に限らず、盗難や横領による被害も認められます(災害や盗難にあったら税金が安くなる「雑損控除」とは? http://woman.president.jp/articles/-/1022を参照)。

「雑損控除」と「災害減免法による措置」は損害額や所得額によって有利なほうを選べるので、該当する人は税務署の相談コーナーで相談しましょう。

地震予知の分野で、南海トラフや首都直下型地震に焦点が当てられている中で発生した熊本地震。日本は至るところに活断層があり、今、このとき、どこで大きな地震が起きてもおかしくない状況であることを、私たちは自然から見せつけられました。

日本に住む限り、私たちは地震と付き合っていかなければなりません。しっかりと地震に備えて、イザというときに慌てないようにしたいものです。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。