マーケティング【中級編】
-すでにマーケティングを知っている人への変化球
『マーケティングの嘘 団塊シニアと子育てママの真実』辻中俊樹、櫻井光行(新潮新書)
「嘘」という挑戦的なタイトルながら、至極まっとうなマーケティング本。風説的な話に基づく思い込みやビッグデータに隠れがちな先入観などを、一人一人の暮らしに寄り添ったテーマを通じて覆していく。
『ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業』ヤンミ・ムン(ダイヤモンド社)
原題は「差別化」。他社と差別化を図ろうとマーケティングに真剣に取り組むほど、また、顧客の声を真剣に取り入れようとするほど、他社と同質化してしまう。多くの企業が陥りやすいジレンマをやさしい文体で語る。
『価値創造の思考法』小阪裕司(東洋経済新報社)
事例をふんだんに取り上げ、いつもわかりやすく商売の原点を説く著者の意欲作。「モノ」ではなく「ひと」を軸に商品の価値を掘り起こす方法について、独自の枠組みに沿って詳述。理論から実践・実行へ、使える一冊。
マーケティング【上級編】
-経営層やマーケティング上級者が読むべき本
『インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ』小林弘人、柳瀬博一(晶文社)
現在進行形のマーケティングや経営をつかめる旬な本。賞味期限があるテーマなので、いまこのタイミングで読んでほしい。メディアや世界がこれからどう変化していくのか、ヒントになることがいっぱい。
『社長、そのデザインでは売れません!』川島蓉子(日経BP社)
伊藤忠商事などの3人の経営者と佐藤可士和ら3人のデザイナーに、著者がインタビュー。経営的な観点から、今後マーケティングでキーとなるであろう「デザイン」と「編集」について、魅力たっぷりに語られている。
『T・レビット マーケティング論』セオドア・レビット(ダイヤモンド社)
コトラーと並ぶ知の巨人が、50年以上前に書いた名論文「マーケティング近視眼」を含んだ論文集。今なお色あせない論文も多く啓発書としての側面も。「マーケティング近視眼」だけは初級者もぜひ読んでほしい。
関西学院大学商学部卒業。神戸大学大学院経営学研究科等を経て日本総合研究所。現在は企業の経営アドバイザリーとして活躍。グロービスにおいては経営大学院や企業研修で講師を務める。
構成=坂口さゆり 撮影=水野真澄