短命投信、その理由
投資信託とは、投資家から集めたお金を大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のことで、この運用の専門家にあたるのが投資信託運用会社です。投資信託運用会社で作られた投資信託は、その国内投信残高の99%超が、販売金融機関と呼ばれる銀行や証券会社などを経由して間接的に売られています。ですから常識的に考えると、投資信託を買おうと思ったら、身近な銀行や証券会社に相談に行ってみようとなるわけです。
販売会社は通常、窓口で投信販売を行っており、顧客に販売手数料が課されます。販売手数料は安いものなら購入金額の1%程度ですが、大半は2~3%超となります。例えば、あるお客さんが販売手数料を3%の投資信託を1000万円購入したとすると、販売金融機関は販売手数料として30万円が得られます。
販売会社の窓口での対面販売には、直接商品の説明を受けたり、分からない点について質問をしたりできるという利点があります。その一方で、販売会社が販売手数料の獲得を目的として、販売手数料の高い商品を薦めたり、それだけではなく同じお客さんに何度も商品を買ってもらおうとしたりするということも考えられます。つまり、投資信託を購入したお客さんに、それを売却して違う商品に買い替えてもらうことで、再び販売手数料を得ようとするということです。こうした行為は、回転売買や乗換営業といった業界用語で呼ばれています。「まさか」と思われるかもしれませんが、平均すると2年に1回ずつ同じお金が違う商品に移っていくという現象が実際に起きており、それが、投資信託全体の平均保有期間を短くしているのです。
皆さんが「自分にふさわしい投資信託を薦めてもらいたい」と、販売金融機関の窓口を訪れれば、販売手数料が高い商品を「人気の売れ筋投信」と言って買わされてしまう可能性もあるのです。“まっとうな投資信託”を選ぶ上で、やってはいけない行動として「いきなり金融機関の窓口に相談に行く」ということが挙げられます。「有名な銀行や証券会社だから安心」という思い込みは禁物です。