3年後の自己紹介を考え、話してみる
さらに仕上げとしてやってほしいことは、3年後の自分の自己紹介を考え、仲間に話してみるということです。もし、恥ずかしくて話せないと思ったら、その理由を考えてください。「ニューヨーク支店に勤務している」と言って、仲間に「無理でしょ、英語話せないでしょ」と突っ込まれそうだったら、今の自分はもっと英会話を頑張らないといけないということです。現状を考えたら無理かもしれない。でも、周りの誰に笑われようが、「あなたは無理」と言われようが、自分だけは自分を信じていてほしい。それは行動力となって表れます。
そうすると、「そこまで言うならチャンスを与えてみよう」と上司が考えるかもしれません。もちろん自分一人の勘違いは困りますが、人に話すことで、自分の本気度合いをリトマス試験紙のように試してほしいのです。
もう一つ、人に話すことでさらに想像が具体的になるという利点があります。たとえばみんなで、今日は3年後の2018年10月と決めて、お互いに自己紹介してみましょう。「私、結婚したの」「え? ウソ、相手はどんな仕事の人?」などと仲間から突っ込みがくるでしょう。「年収はいくら?」「彼の趣味は?」……そんなこと考えていなかった、と気づくはずです。そのとき、その場で考えながら想像で会話を続けてほしいのです。妄想で構いません。ほら吹き大会を楽しんでみてください。言葉にすることで想像がよりリアルになってきます。
人に話すことで、突っ込みを受け、話せない場合は原因探しができる。家族でも家族以外でも、社内でも社外でも、3年後の自己紹介ワークを一緒にやってくれるような相手がいるといいですね。もしそんな相手がいないなら、社外のセミナーに参加してみるなど、環境をちょっと変えてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、そういうコミュニティーをつくって、仲間も一緒にみんなでなりたい自分に近づいてください。
信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。NHKキャスター歴17年。大学院で心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号取得。現在、国立大学の教員として研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職などに「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。全国から研修・講演依頼があとをたたない。著書に、ベストセラー『その話し方では軽すぎます! エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』(すばる舎)など。http://www.authenty.co.jp/
構成=坂口さゆり イラスト=米山夏子