基本的な決まり事でも、意外と知らないことが多いビジネスマナー。そこで、企業や学校などでマナーの指導や研修を行う岩下宣子先生に、働く女性が間違えがちな問題を厳選、テストを作成してもらいました。さっそくトライしてみましょう!

マナーは「思いやりの表現」なのになぜルールがあるのか

ビジネスマナーというと、かたくるしく考える人が多いのですが、わたしは“マナーは愛”だと思うんです。これは新渡戸稲造の言葉ですが、ほんとうの礼儀とは、こちらがどんなふうにしてさしあげたら、お役に立てるのかということを相手の気持ちや立場で考えること、それは愛と変わらないということです。

では、なぜマナーは思いやりの表現なのに、ルールがあるのでしょうか。それは人間の感性は人それぞれなので、ルールがあるほうが楽だからです。

たとえばお葬式のとき、どんな色の洋服でもいいよといわれると、かえって困りますよね。この服でよかったのか、どうだろうかと自分のことで精いっぱいになってしまい、周りの人の気持ちや立場に立ってあげられません。でも、とりあえず黒を着ていけば、その場に安心していられます。その安心感が心の余裕となって、周りの人の気持ちや立場で考えられるわけです。この心の余裕を持つために、先人たちはルールを作ったのかなと思います。

だからマナーというのは、絶対に守らなくてはいけないものではなく、ときにはくずしたほうがお互い気持ちよく過ごせる場合もあります。正しいマナーを学ぶと同時に、そのことも忘れないでおきたいですね。では、さっそく問題にトライしてみましょう。

まずは、練習問題にチャレンジ!

【練習1】部長、課長と一緒に取引先を訪問。先方に先に紹介するのはどちらですか。

(1)部長(2)課長

【練習2】他社の同年齢の課長2人を上司に紹介する場合、どちらを先に紹介しますか。

(1)親しいほうを先に(2)親しいほうは後回し!

イラスト=小幡彩貴

 解答・解説 

【練習1】答え:(1)部長
他社の人を紹介するときは、“立てなければいけない人は後”が紹介の鉄則ですが、身内を紹介する場合、立てる人を先に。

【練習2】答え:(1)親しいほうを先に
このケースだと、立てなければいけないのは親しくないほう。親しいほうを先に紹介します。