電気はどうやってわが家に届く?

さて、電気は電線を通って私たちに届きます。でも、新電力会社は、電柱も電線も持っていません。では、電気はどうやって家まで届くのでしょう?

送電については、今ある設備を利用して、使用料を払うしくみです。従来の電力会社は今後、発電・送電・小売りの3つに分かれますが、このうち送電会社が電柱や電線などの設備を持ち、保守・点検も担当して、使用料を受け取ります。このため、どの電力会社と契約しても、電気は今までと同じ電線を通って、わが家に届きます。この設備使用料はもちろん、私たちの払う電気料金に含まれます。

電力使用量を測る電気メーターは順次、無料で検針不要のスマートメーターに切り替わります。これも、送電会社の設備の一部。新電力会社は送電会社から各家庭の使用量の情報をもらって、利用者に料金を請求します。

発電会社から届けられる電気は、必ず電線を経由します。そこで、送電会社は発電所でつくられる電気の量や使われる電気の量を常に把握して、コントロールする役割を担います。たとえば夏場に電力が足りなくなりそうなとき、発電所に指示して発電量を増やすのは送電会社の仕事です。また、もし新電力会社が必要な電気を集められず不足することがあれば、送電会社が補うと決められています。このため、新電力会社と契約したら電気が足りなくなって停電になる、という事態は起きません。

原子力を使わない電気を選ぶことはできる?

原子力発電は使いたくない、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーを選びたい、という人もいるでしょう。私だって、できればそうしたいと思います。

電力自由化では、そんな選択も可能になります。電力会社によっては、発電の方法や構成割合(電源構成)を公表しているところもあるので、それを見て判断すればいいでしょう。

ただし、太陽光発電でつくられた電気がそのままわが家に届く、ということではありません。どこでつくられた電気も、送電会社に集められて均一化され、みんな一緒に電線を通って運ばれます。どの電力会社と契約しようと、使う電気はみな同じ、ということ。ただ、電気料金は使った分だけ、契約した電力会社に払います。もし再生可能エネルギーを買う人が増えれば、再生可能エネルギーの生産が伸びることになるでしょう。電気料金の安さだけではなく、そんな点に注目して契約先を選ぶことも可能になった、ということです。