自由化はとっくに始まっていた
そもそも、電力の自由化っていったいどういうことなんでしょう?
まずは、電気がどうやってわが家にやってくるのか、順番を考えてみました。電気は火力発電所や水力発電所、原子力発電所などの発電所でつくられ、そこから送電線で運ばれて、私たちはこの電気を購入しています。つまり、(1)発電(=生産)(2)送配電(=流通)(3)小売り(=販売)の3つのステップを経て私たちに電気が届く、ということです。
電気については長い間ずっと、この生産・流通・販売のすべてを、東京電力や関西電力といった各地域にある従来の電力会社が独占していました。電力自由化は、その独占状態が崩れていくということです。電力事業は発電・送電・小売りの3つに分かれ、段階的に自由化されています。
発電については1995年から自由化が始まり、ガス会社や石油会社などのように、独自に発電所を持っている会社もたくさんあります。小売りについては大規模工場やデパートなど大口向けが2000年に自由化され、企業間ではすでに電力の売買が行われています。また、証券取引所のような電力の取引所も存在します。電力自由化は、とっくに始まっていたんですね。
4月1日からの自由化では、私たち一般家庭に向けた電気の小売りが、電力会社以外にも解禁されました。そこで、すでに発電所を持つ会社を始め、携帯電話会社や住宅メーカー、コンビニなど多くの企業が電気の小売りに名乗りを挙げています。私たちは、こうした新電力会社の提案する料金プランを見て、契約する会社を自由に選ぶことができるようになりました。電力会社が競争すれば、電力料金も安くなることが期待されています。
では、こうした新電力会社は、どんな電気を販売するのでしょうか? これは、大きく2つに分かれそうです。発電所を持つ会社は自前の電気を販売し、発電所を持っていない会社は他社から電気を買ってきて販売します。もし自前の発電所で電力が足りない場合は、その分を他社から買って補うことになるでしょう。