日曜の朝、働く男女がカフェに集う。和気あいあいと盛り上がる彼らの手には、ドラッガーに関する書籍が……。ビジネス書好きが集まる読書会に、女子が参加するケースが増加中だ。ドラッカーや松下幸之助にハマる彼女たちの素顔に迫ってみた。
ビジネス書が男性の読み物だった時代は今は昔。書店に足を運ぶと、熱心にビジネス書を選ぶ女性も多く見かける。そんな、仕事にも人生にも一途な女性たちは一体どんなことを読書に求めているのか。ビジネス書の代名詞として有名なピーター・ドラッカー作品と松下幸之助作品を読む2つの読書会に潜入! そこに集まる女性たちのビジネスや人生への読書の生かし方を探ってみた。
ドラッカーで「当たり前」を言語化する
まずはドラッカー女子が集まる読書会。日曜の朝にもかかわらず参加者は働く若手男女を中心に合計20人ほど。好きなドラッカー作品を持参し、仕事の悩みや書籍の感想などを話していく。ドラッカーの著作は多岐にわたるが、経営やマネジメントなど、実務に直結した書籍を持参する参加者が多い。
管理職として働く南田さんがドラッカーを読み始めたキッカケは、MBAの課題図書。しかし最後まで読んでも印象は薄く、その数年後に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称「もしドラ」)を読んだことでドラッカー作品を再読。現在はドラッカーをはじめとした、実務にも直結するマネジメント関連の書籍を多く読むという。
南田さんいわく、その魅力は“当たり前を言葉で定義するすごさ”だという。「ドラッカーの著書の中に、『人は仕事に誇りを持つときに成長する(ピーター・ドラッカー『企業とは何か』より)』という言葉があるのですが、言葉にすると当たり前でも普段の生活ではなかなか意識できないものです。今はドラッカーの言葉を頭に焼きつけ、会社の中で一人一人が存在意義を高められるように、部下に対してどんな課題を与えられるか日々考えています」
アメリカ駐在経験を持つ三五(さんご)さんは、最近部署異動があり、毎日新たな経験と勉強に奮闘中だ。「ドラッカーを読んでいると、まだまだビジネスに可能性はある。そんなモチベーションアップにつながりますね」
そう言う彼女は今回『現代の経営』を持参。「顧客の創造」というフレーズに、自身が勤める業界発展の可能性を感じつつ、今後のキャリアともクロスさせていた。
彼女たちは日常的にビジネス書を多く読んでいるため、好きな著者のことになると一家言ある人ばかり。最近ではアドラーブームの発端となった『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 』を2人はすでに読了。同書に登場する「課題の分離」をめぐり、「この本を読んでから他人との距離の取り方が変わった!」と盛り上がるシーンもあった。