組織のリーダーたるもの、堂々と尊敬できる存在であってほしい。「PRESIDENT WOMAN 2016年4月号」で行った500人アンケートでは、まさかの残念な現実が見えてきました。働くモチベーションにも直結する上司の器。じっくり検証します。
[調査概要]楽天リサーチの協力でインターネットでのアンケート調査を実施。対象は、男上司の下で働く30代・40代の正社員、男女各500人。期間は2015年12月26~27日。
職場の人間関係を乱す
調査では、上司の器のサイズがチームワークや仕事の生産効率に大きく影響していることがはっきりしました。人材育成企業FeelWorks創業者の前川さんは「職場の風土は上司で決まる」とキッパリ断言します。
例えば上司が保身に走り、短期的業績にきゅうきゅうとしているようだと、部下の一挙一動に口を出すマイクロマネジメントに陥りがち。部下は、権限や裁量を渡されないのに結果だけ求められ、互いにストレスでピリピリしてしまいます。
「でも、そうなってしまう外的な要因があるのです」と前川さん。
「バブル経済崩壊以来、日本の企業は短期的な成果を求める苦しい経営を20年も続け、新卒採用も制限。おかげで現在の課長層は、現場を担当し続けるプレーイングマネジャーが8、9割を占めています。現場感覚があるために部下の仕事ぶりが目につき、口も出る。一方でマネジャーとしての覚悟は弱いのです。これは職場にとって大きな問題です」
人材育成企業FeelWorks創業者。「上司力研修」、社内報編集などで250社以上の「人が育つ現場づくり」を支援。『上司の9割は部下の成長に無関心』『ダイバーシティの教科書』など著書多数。青山学院大学兼任講師。
イラスト=中村純司