変動金利型ローンの特徴を知っておこう

マイホームを購入するとき、勧められるままに変動金利型ローンを選んだ人も多いと思います。この機会に、変動金利型ローンの特徴をおさらいしてみましょう。

(1)金利が変わっても返済額は5年間変わらない(5年ルール)
適用金利は半年に一度見直されますが、返済額は5年に1度しか変わらないのが普通です。この間にもし適用金利が下がれば、返済額のうち利息の割合が減って、元本を多く返せます。反対にもし適用金利が上がれば、返済額のうち利息の割合が増え、元本がなかなか減らないことになります。

(2)返済額が上がるときも1.25倍まで(1.25倍ルール)
多くの金融機関では、もし金利が上がって返済額が上がる場合も、返済額はそれまでの1.25倍を上限に決めています。一見、安心なようですが、こんなときは返済額のうち利息の割合が大きく増えているので要注意。もしも利息が返済額を上回るようなら、「未払い利息」が発生して、返しても元本が減らず、払うべき利息がどんどん増えていく状態に。これが変動金利型の最大のリスクといえるでしょう。

(3)変動金利型→固定金利型への乗り換えは難しい
上のようなリスクに対し、「金利が上がり始めたら変動金利から固定金利に借り換えよう」と考える人も多いはず。ただ、前述のように変動金利型ローンの金利は短期プライムレートの影響を受けますが、固定金利型の金利は、10年国債金利などの長期金利に影響されます。金利が変動するときは、こうした長期金利は短期金利に先がけて動き始める性質があります。このため、金利上昇時に借り換えようと思っても、固定金利型の金利はすでに上昇しているでしょう。都合よく借り換えるのは、かなり困難と考えるべきです。

超低金利のなか、返済額が少なくて済む変動金利は固定金利より有利な状況が続いています。景気がなかなか回復しない今、今後もしばらく金利上昇は考えにくいと思います。でも、住宅ローンは20年、30年も続きます。金利が急上昇するときがないとはいえません。景気が回復しない中で金利が急上昇を始めるのが最悪のケース。変動金利の水準が固定金利を上回ることもあり得ます。

変動金利型ローンを借りている人は、こうしたリスクを頭に入れておくことが大切です。返済額が少なくて済むからといってお金を使ってしまわずに、手持ち資金を増やしておくよう心がけましょう。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。