これまで10以上のプロジェクトに携わり、昨年は秋葉原のオフィスビルの現場で初めて副所長を務めた。

建設は地図に残る仕事だ。すべての現場に思い出がある。夫とともに東京の街を歩き、近くを通りかかるたびに、誇らしい気持ちになる。最初は何もなかった敷地にビルが建ち、そこに人々の営みが生まれている。その様子を見ていると、彼女は自分がこの仕事が本当に好きなのだと実感する。

Holiday Shot!【写真上】日曜日は、日帰りで森林浴をすることが多い。静岡に行ったときは、1596年(慶長元年)創業のとろろ汁の老舗「丁子屋」も訪れた。【写真下】海外旅行に行くときは、趣味と勉強を兼ねて建築物を必ず見に行くことにしている。

「建設現場の所長は、仮囲いの中でタクトを振る指揮者みたいな存在です。いずれは自分も所長になり、そこで働くみんなが『あの現場にいて良かった』と後々まで思えるような仕事をしたいですね」

大成建設に限らず、大手ゼネコンには部長などの女性管理職はまだまだ少ないという。

「誰かがしっかりと会社で立場を得ていくことが大事。そうすれば、若い人たちもこの業界に興味をもってくれるのでは」

そう語る彼女はいつの日からか、より責任の大きなポストに就いて、後輩の女性社員たちに自分の姿を見せたい、という思いを抱くようになった。

「一回しかない人生、やっぱり何でもやってみたいんです。会社の中でもっと上に行きたい。その気持ちはいつももっています」

■廣作さんの24時間に密着!

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【写真左上から時計回りに】朝礼は7:50開始。作業員に安全注意を呼びかける。/現場で気になったことは、その場で打ち合わせる。/昼食はいつも現場の仲間と談笑しながら食べる。/午前中に巡視した場所も、自分の足と目で再確認。/夕方にも資料作成などのデスクワークをこなす。

6:00~6:30 起床
6:30~7:30 自宅出発

7:30~8:00 現場到着/朝礼
8:00~9:00 現場巡視
9:00~10:00 ミーティング
10:00~12:00 内勤
12:00~13:00 昼食

13:00~14:00 現場巡視
14:00~15:00 打ち合わせ
15:00~17:00 ミーティング
17:00~18:00 内勤
18:00~20:00 打ち合わせ
20:00~21:00 退社、買い物
21:00~21:30 夕食
21:30~22:00 明日の準備
22:00~24:00 趣味の時間
24:00~6:00 就寝

廣作利香(ひろさく・りか)
1971年生まれ。日本大学理工学部建築学科を卒業。2007年に大成建設の駅前再開発の現場監督を担当する。その後複数の現場を経て、現在は約800人が働く建築作業所で副所長を務めている。

撮影=村山嘉昭