こうした人気施設が登場する一方で、小学生の放課後保育サービスは、民間企業の成功が難しい分野ともいわれている。小学生は保育園児より対応が容易だという安易な考え方があるためとみられ、サービスを始めたものの、実際に事業に失敗したケースも出てきている。

イラスト=Yooco Tanimoto

実は、小学生は心身ともに成長が著しい期間であるがゆえに、体力面でも精神面でも不安定になりやすい。こうした子ども自身へのサポートと同様にその子の保護者へのサポートも必要になってくる。

「子育て支援」というコンセプトを打ち出していくなら、利益重視の運営は、かえって企業のイメージダウンにつながりかねない。子育て支援をメイン事業の一つに打ち出すなら、ソーシャルビジネスとしての視点は切り離せないのだ。

成功例として挙がるのが、横浜市の「認定NPO法人あっとほーむ」。同法人が運営する学童保育は、民間企業のサービスのほかに、子どもや保護者自身の悩み事にも真剣に向き合うなど、利用者への姿勢が評価され、利用希望者が後を絶たないという。学童保育や放課後保育サービスの成功には、単なる「保育」支援だけではなく、子ども自身の「育ち」支援と保護者の生活と気持ちに寄り添う支援も必要だといえそうだ。

田中聖華
松蔭大学准教授。総合商社、コンサルティングファームを経た後、現職。キャリア発達をテーマにしつつ、女性の継続就業支援も行う。
 

イラスト=Yooco Tanimoto